残りの会社生活と定年後のライフプランを描けるように、50~55歳向けの研修を導入
ベテラン従業員の財産を眠らせない
HONDAは、販売を行うS部門、生産のE部門、研究開発のD部門、購買を担当するB部門の4つの部門に分かれています。私が所属するのは生産のE部門。ここでは、2万人が働いており、その内の約5割に当たる1万人弱が45歳以上のベテラン従業員です。ベテラン従業員のノウハウや経験はHONDAにとって貴重な財産であり、彼らの力は、規模からして大きな力であることは否めません。彼らが持つノウハウ・経験を最大限に活かすために研修を導入しました。
具体的には、自分の強みや得意技を再認識するキッカケを与え、定年後も含めた将来のありたい姿を描いてもらう。ありたい姿を実現するためには健康や家庭にも目を向けて充実した日常生活を送ることで、本人のモチベーションアップや社内コミュニケーションも活発になり、持っている強みや得意技、ノウハウを後輩へ伝承できれば会社にとって大きなパワーになると考えたのです。
在籍中の会社生活だけでなく定年後も考える研修
ライフワークスさんの研修は、浜松製作所において15年ほど前から導入していました(※)。しかし、E部門には6つの拠点があり、これまでは拠点毎に別の研修を導入している状況でした。そこで各拠点が導入していた研修の比較検討を行いました。その結果、浜松で実施している研修は受講者の感想や担当者の声として評価が最も高く、私自身も研修生として受講し動機付けに最適な研修と実感したので、E部門共通で展開することにしました。
各拠点の研修の一本化は、2年ほど前からスタートしたものです。研修を3拠点へ導入するにあたり、浜松製作所の人たちの協力が大きかったですね。彼らもライフワークスさんの研修の良さを知っていたため、協力してくれたのだと思います。50歳という年齢をひとつの節目として捉え、定年後も含めた今後の将来を見つめ直す。「健康」「家族」「定年後」など直接仕事には関係がないことも入っていますが、そうした内容だからこそ良いのだと思います。受講対象の50歳は、会社ではベテランですが、まだ長い人生が何十年間も残されています。今後の会社生活と定年後を本気で考え、50歳に研修を受けることを「いまさら」と考えるか、「いまから」と考えるかで今後が大きく違うはずです。受講後に受講者の顔つきが変わったことを目にすると効果のある研修だと思いますね。
パワーを発揮するには定着がカギ。サポートを惜しまない
今後は、各拠点も浜松製作所のように定着してほしいですね。そのために私は労力を惜しむつもりはありません。今後も定着するまで、サポートを続けたいと思います。受講した人がまだ受講していない人に勧め、研修の良さが伝わり飛躍的に広がってほしい。研修のクオリティは確かに高いものですから、広がる様にサポートすることが大切だと思っています。最終的には、ベテラン従業員全員が受講することで、個々人が明るく活き活きとなり、さらに活気ある職場環境になってほしいですね。
※各拠点に広がる研修
現在、ライフワークスの研修は、浜松製作所を含めて4拠点で導入。対象者の数は3300人近くにのぼるが、熱意あるトレーナーの協力のもと、順調に進んでいる。
この事例のまとめ
課題 | 拠点を越えて多くのベテラン従業員に受講してもらうために 2006年に各拠点で実施している研修を全て検証したところ、45歳以上の社員に提供する共通の研修がないことがわかりました。ベテラン従業員のモチベーションアップや動機付けのために、すべての拠点で研修を実施すべきであると考え、比較検討の上、浜松製作所で導入していたライフワークスの研修を水平展開することにしました。 |
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方法 | トレーナーは人選が大切。基準は「人当たりが良く、人材育成や仕事も遊びも情熱的な人」 水平展開のためには、各拠点のキーマンとなる担当者が研修の目的を正確に理解してもらう様に社内ベテラントレーナーによる研修を受講しました。そして事業所内でコンセンサスを得て社内トレーナーを育成する必要がありました。トレーナーといっても、受講者からすれば同じ職場の上司や同僚のため、人選が重要でした。基準は「人当たりが良く、人材育成や仕事も遊びも情熱的な人」。彼らにトレーナー養成研修を受講してもらい、その後、ベテラン者研修のトレーナーとして活躍してもらっています。 |
成果 | 多くの拠点で動き始めた研修 研修対象者である3300人(50歳~55歳)の対象者に受講してもらうための体制は整いつつあります。今後は体制をより強固なものへと発展させることと継続させることが目標です。そしてベテラン従業員が活き活きと働く会社であり続けたいと思います。 |
※ご担当者の所属、役職などは2009年11月現在のものを掲載しています
取材日: 2009年11月
研修導入企業情報
本田技研工業株式会社 様
- 目的
- ミドル・シニアの活性化
- 年代
- 50代
- 業界
- メーカー(toC)
企業のご担当者様
生産本部 四輪生産企画室
E人事開発センター 主任家田 勝己 様