仕事の動機・価値観と自らのありたい姿を明確化する40代社員向け研修を実施

新しい挑戦が求められる一方、40代社員の停滞感に課題

サービス業のA社では、ここ数年、顧客満足度の低下や競合の台頭などにより、業界内で保ってきた競争優位性を揺るがす変化が生じています。そこで、既存事業における改善・改革、新規事業の開発など、経営革新を実現するための新たな事業戦略の策定、さらに、人材力向上のための人事制度の大幅な改定が行われました。

人事制度の改定においては、「自分のキャリアは自分で考え、自己成長すること」「上司は部下の育成について十分に考え、支援すること」という考えのもと、経験年数や役職ごとに求められる行動要件が策定されました。そして、この要件の下、社員、上司、人事部のそれぞれの活動が定められたのです。具体的には、社員は、「自らの自らの価値観・動機」と「自らのありたい姿」を明確化するための自己申告書を作成し、上司とのキャリア面談を通して深掘りすること。上司は、キャリア面談と自己申告書を通して部下の「価値観・動機」を理解し育成計画を立てること。そして、人事部は、育成計画の内容を人材の配置・登用に生かすこと、という内容です。こうして社員の育成と成長の循環を促す仕組みが作られました。

一方で、課題となっていたのが、経営革新の担い手として期待される40代社員の停滞感です。現状に安住し、組織にぶら下がった状態の社員が少なくありませんでした。加えて、自己申告書作成の助けとなるよう、「価値観・動機」と「ありたい姿」を明確化するための気づきをうながす目的で行われていた世代別のキャリアデザイン研修において、そもそもその明確化がうまくいっていないことも課題でした。

40歳社員の成長意欲を引き出す研修プログラムを設計

そこで、(1)「価値観・動機」と「ありたい姿」を明確化する、(2)40歳を迎えた社員に対して、「事業環境の変化に対応して自己成長し会社に貢献する」「40代の10年間は自己成長するための重要な期間であり、過ごし方次第で伸び代が変わってくる」という健全な危機意識を植えつける、という2つの目的を果たせるよう、40歳向けのキャリアデザイン研修が見直されることになりました。

この2つの目的を達成するためにライフワークスが提案・設計したのが、「状況受容キャリアから変化対応型キャリアへの転換」をコンセプトにした1日間の研修プログラムです。具体的には、次の3つをポイントとしました。

(1)ツールを用いて価値観・動機を明確化

これまでの人生を振り返り、変わらない価値観や、心の底からやりたいと思うことなどを掘り下げて考えることのできるツールをプログラムに取り入れ、価値観・動機を本質的にとらえ、言語化する助けとしました。

(2)ステージ要件に対する自分の状況を測るチェックシートを同社とともに開発

同社が独自に定めるステージ要件を各社員が満たしているか、そうでないかを自己診断できるチェックシートを作成し、受講者が自らの強みと今後の成長のテーマを探るために用いました。具体的には、受講者にチェックシートで自己診断してもらうとともに、受講者の上司からも評価できる要件や課題のある要件などについてメッセージをもらって共有。受講者が自分に今備わっている行動要件と、課題がある行動要件を客観視できるようにしました。

(3)「尊敬している先輩社員へのインタビュー」という事前課題を設定

受講者が尊敬する先輩社員の価値観や動機、40代での仕事の取り組み方などを聞くことで、輝いている人たちは問題意識を持って仕事をしていることや、少し背伸びした挑戦をしていることなどを実感し、成長の必要性を腹落ちしてもらうことをねらいました。このことで健全な危機感を醸成しました。

40代社員の価値観・ビジョンが明確化。意識が高まった

これら3つの内容を中心に研修を実施した結果、参加者の7割超から「満足」との評価を得ました。受講者からは「ツールやグループからのフィードバックによって自分が大事にしていることについての発見や気づきがあった」「自分の棚卸しにすごく効果があった」などの感想をいただきました。同社の研修担当の方からも、受講者の自己申告書の内容がより具体的になり上司とのキャリア面談の質が高まったことや、40代社員の意識が高まったことなどの報告をいただいております。

この事例のまとめ

課題 40代ミドル層の停滞払拭と強化
事業環境の変化に対応するために策定された新たな経営戦略のもと、新規事業開発をはじめとした「挑戦」が社員に求められる一方、40代ミドル層の停滞払拭と強化が喫緊の課題となっていた。
方法 40歳社員向け研修の内容を、今後10年間の成長意欲を引き出すものに見直し
「状況受容型キャリアから変化対応型のキャリアへの転換」をコンセプトに、健全な危機感を植え付け、価値観・動機と成長テーマ、キャリアビジョンを明確化する研修プログラムを設計。
成果 一人ひとりの5〜10年後の「ありたい姿」が自らの「価値観・動機」と絡めて明確化された
受講者の5〜10年後の自社でのありたい姿や目指したいステージが明確化され、40代社員の意識が高まった。また、自己申告書の内容が具体的になり、上司とのキャリア面談の質も上がった。

研修導入企業情報

サービス業 A社

目的
ミドル・シニアの活性化
年代
40代
業界
サービス

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