部下とのキャリア面談の意義と進め方を考える「管理職向けキャリア面談研修」を実施

組織の着実な成長と社員のポテンシャルを高めるため、人事制度を再体系化

BtoBビジネスをコア事業とするB社では、競争環境の激化に対応した高い経営・事業目標に挑戦していくため、社員一人ひとりにキャリア自律を促しつつ成長意欲を持たせること。そして、社員がより意識的かつ計画的に必要な経験を積むことで一人ひとりの能力・専門性を高めることを目指し、人事制度の再体系化が行われました。その一環として、行動と業績の2方面から社員を評価する制度への改定と、「組織・個人の専門性を強化し、持続的にコア業務で貢献できる人材を育成する」仕組みとしての人材育成会議、および「組織の人材戦略と個のキャリア目標とのすり合わせ」を実現するための上司と部下による"キャリア面談"が導入されました。

業績評価面談では、短期的な業績目標とそれを達成するための個々人の課題の確認と、達成状況や成果の振り返りを行い、その結果が賞与や昇降給・昇降格に反映されますが、キャリア面談は、「社員の中長期的なキャリア形成とその実現に向けた話し合いを行い、社員の自律的な成長を促進する」ことを目的としています。

キャリア面談を通して、上司は部下の長期的な育成の方針を検討するとともに、さらにその情報を部門および全社での人材育成会議で共有。異動・登用や採用にフィードバックされるという仕組みです。

このように、キャリア面談は新しい人事制度、および人材育成・登用の流れを生きたものにするような重要な役割を果たすこともあり、同社ではキャリア面談の担い手となる管理職に対して、キャリア面談の位置づけや意義の理解、進め方の習得などを促す必要がありました。そこで、同社で長年シニア層向けの研修を行っていたライフワークスに、管理職向けキャリア面談研修の企画・提案のお声がけをいただきました。

同社社員の具体的事例を元にした実践的演習型研修を企画

B社からいただいた与件に基づいて、当社は研修の目的を(1) 人事施策全体におけるキャリア面談の位置づけを理解する、(2) 部下のキャリア開発支援の必要性と業績評価面談との違いを理解する、(3) キャリア面談の進め方と有効なスキルを体験的に学習するの3点に定めました。そして、研修の冒頭でキャリア面談の目的とその重要性、業績評価面談との違いについて経営理念や長期ビジョンをふまえながら説明し、その上で、オリジナルの社員事例をもとにキャリア面談のロールプレイングを行う実践的なプログラムを企画しました。

ロールプレイングに用いる社員事例は、例えば、「20代研究職。今の仕事にはやりがいを感じており、コツコツとまじめに仕事に取り組んでいるが、将来のキャリアイメージを描けておらず、目標がない」「30代営業職。花形部署である経営企画部に行きたいと、主張している」など、同社の実際の社員の方の事例を参考にしながら、全職種を網羅したオリジナルの事例を作成。ロールプレイングが実践的になるよう工夫しました。

キャリア面談の目的や進め方への理解が進んだ

この結果、参加した管理職からは「キャリア面談が業績評価面談のようになってはいけないと思った」「内発的動機づけという観点を初めて知った。そういうアプローチの大切さがわかった」「部下のキャリアプランを受け止めることが大事だと分かった。これまでのやり方を反省した」などの感想が挙がり、研修の目的を果たすことができました。また、「これまでの面談ではつい自分が話して部下の声を誘導してしまいがちだったが、本音を引き出すには部下の声に耳を傾けないといけないことがわかった」など、面談の進め方についても気づきを得ていただくことができました。

さらに、受講者の中には、「そもそも部下と信頼関係ができていないと本音を話してもらえない。日々の関係づくりが大事だと気づいた」など、自身のマネジメントスタイルを見直す機会になった方もいらっしゃったようです。人事部の方からも、「キャリア自律という考え方を浸透させていくにあたり、『管理職が部下のキャリアを支援するんだ』という考えを根づかせたという意義のある研修だった」との評価をいただきました。

同社は現在、次のステップとして、社内の全職種について、職種ごとに求められる専門性とスキル、およびそれらを身につけるために必要な経験などを定義したガイドマップを作り、管理職による部下のキャリア支援やキャリア面談、研修の資料などに活用することを目指していらっしゃいます。ライフワークスとしても、今後は同社の取り組み内容に応じて研修プログラムをアレンジし、意義のあるものにしていく予定です。

この事例のまとめ

課題 人事制度の改定に伴い、管理職と部下との「キャリア面談」が導入された
より高い経営・事業目標に挑戦していくため、人事制度を再体系化。上司と部下による「キャリア面談」が導入され、管理職には部下のキャリア開発を支援する役割が求められるようになった。
方法 管理職向けにキャリア面談研修を実施。意義・進め方の理解を促した
同社の全職種を網羅したオリジナルの社員事例を作り、キャリア面談のロールプレイングを行う全管理職向けの研修プログラムを設計。キャリア面談の意義と進め方についての理解を促した。
成果 キャリア面談の意義が浸透。管理職がマネジメントスタイルを見直す機会にも
部下に対するキャリア支援の必要性やキャリア面談の意義、進め方に対する理解が深まるとともに、管理職自身のマネジメントスタイルを見直す機会にもなった。

研修導入企業情報

メーカー B社

目的
管理職の育成力強化
年代
30代 40代 50代
業界
メーカー(toB)

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