再雇用期間の貢献領域を考える研修を52歳・58歳社員を対象に実施

58歳向け研修で、定年後の貢献分野を考える

メーカーC社は、50代の社員に向けて2種類の研修を行っています。1つ目が、58歳社員向けの研修。仕事一筋でやってきた社員に対してセカンドキャリアについて考えることを促し、ライフプランやマネープランに役立つ情報を提供することを目的に、2012年ごろから開始されました。

その後、2015年度には、再雇用制度が「豊富な経験、あるいは、高い技術・技能を持つ人材や、意欲高く継続して成果をあげられる人材に対してグループ全体で活躍・職務拡大できる仕組み」に変更されました。これを受け、58歳社員向け研修においても、再雇用制度および各種サポートの内容についての理解を促すことや、受講者が今後のキャリアやライフにおいてどのような分野で貢献していきたいかをより一層考えてもらう必要性が高まってきました。

そこで、導入当初よりこの研修を担当させていただいていたライフワークスに、上記の要請に応じた研修内容の変更のご依頼をいただきました。そして、私たちが設計・提供したのが、従来のマネープランやライフプランの検討に役立つ情報・視点の提供に比重を置いたものから、自らの特徴・価値観を理解したり、今後の人生において、仕事、同僚、後輩、地域、趣味など、貢献したい分野についても考えたりすることができる時間を設けたプログラムです。

52歳向け研修で、モチベーションの維持・向上を促す

2つ目の研修は、52歳の社員を対象にしたものです。58歳社員向け研修を導入した際の反響が大きく、より早い、50歳を超えて間もないころに今後のキャリアやライフについて考える機会を作った方がよいのではないか、という意見が挙がったことを受け、2014年ごろから始まりました。

対象とされた52歳社員には、役職層や一般層が含まれます。役職層の場合、自制心や自己統制能力が高く、数年後に役職定年を迎えたとしても、自ら役割を創造して、会社や職場の期待に応えていくことに苦慮しない方が多いという特徴がありました。また、一般層の場合、真面目で、今の職場・仕事に貢献したいという意欲が強い方が多いという特徴がありました。そのため、この世代に対して行う研修は、、やりたいことにあふれているパワーを生かして、引き続き挑戦的、意欲的に仕事を担ってもらえるよう、定年までの8年間と、その後の再雇用期間の職場への貢献の仕方を自ら考える機会となること。この機会が、個人のキャリア開発においても、組織開発においても重要な意味を持つものとなること。ということが研修の与件として整理されました。

そこで、受講者が自らの価値観・強み・持ち味を改めて見直すとともに、まだまだ続く環境の変化に合わせて自らの強みを発揮していく必要性を認識し、残り8年の貢献分野を考えられるようプログラムを設計。とくに、研修の最後に「キャリアデザインシート」を書くことで、今後8年間の職場への貢献の仕方などを具体的に見える化できる内容にしました。さらに、キャリアデザインシートの内容を十分なものにすることへの動機づけを行うため、冒頭のイントロダクションの時間を1時間近く取り、研修を受けることの必然性と意味を強く印象づける工夫をしました。

研修を通して作成されたキャリアデザインシートは、、毎年、研修担当者とともに当社の担当者が分析し、52歳社員の特徴をつかみ、研修の細部の改善等に役立てていただいております。

今後のキャリア・ライフを前向きに考える機会に

58歳社員向け研修も、52歳社員向け研修も、受講者アンケートにおいて高い評価をいただいています(5段階評価の平均が4以上)。

58歳社員向け研修では、とくに今後のライフプランにおいて貢献したい分野を書き出すセッションが好評を得ています。一方、今後の課題として、これまで役職層と一般層を区別せず、合同で実施していたところを、クラスを分けることを検討しています。というのは、役職層には、再雇用に向けて、元役職層として仕事のやり方や範囲を見直し、仕事の意義を広げ、コミュニケーションの質や量を上げるといった「ジョブ・クラフティング」の考え方を実践してもらいたいという同社の期待があるためです。一般層に対しては、受講時点でセカンドライフに対して積極的な人が多いため、これまでどおり、自身のライフプランを考えていただくことに軸足を置いた内容を継続する見込みです。

52歳社員向け研修については、内容に対する評価だけでなく、役職層と一般層で分かれているクラスごとに受講者に近い経験・背景のある講師を担当者としているため、「共感を持って聴くことができる」などの評価もいただいています。今後も、受講者自身のやりたいこと(=Will)を確認し、定年までの8年間、そしてその後の再雇用期間でWillを実践したり、Willを大切にして周囲とかかわりながら働いたりしてくことを、講師を通して伝えていく予定です。

この事例のまとめ

課題 50代社員のモチベーションの維持・向上
役職定年や定年・再雇用を控えている50代の社員に対して、その変化を受け身で迎えるのではなく、自律的に今後のキャリア・ライフプランを描き、貢献分野を見つけ、実践することを意識づけたい。
方法 自らの特徴を知り、今後のキャリア・ライフプランをデザインする研修を実施
ライフやマネーに関する情報を得た上で、自らの価値観や特徴、これからのキャリア・ライフで実現したいことなどを再確認し、今後の貢献分野と実践に向けたプランを立てる研修を実施。
成果 前向きに今後のキャリア・ライフプランを見通すことができた
受講者の多くは研修を経て自らのキャリア・ライフプランを前向きかつ具体的に検討し、定年までの8年間、およびその後の再雇用期間におけるモチベーションの維持・向上に役立っている。

研修導入企業情報

メーカー C社

目的
ミドル・シニアの活性化
年代
50代
業界
メーカー(toC)

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