キャリアとライフの変化を見据え、変化に積極的な対応を意識づける研修を50代前半社員に実施
50代に起こりうる変化や社内制度への周知を徹底したい
金融企業D社の社員は、仕事一筋でキャリアを積み重ねてきた方が多く、50代以降に起こるキャリアやライフの変化、例えば、役職定年や介護、収入・支出の変化などについて想定できていないケースが見受けられました。また、割増退職金制度の存在や、60歳定年後の再雇用においては55〜60歳の5年間の人事評価が報酬に影響することなど、これからのキャリアにかかわる制度が十分に周知されていない状況にもありました。
そのため、50代前半の社員に対して、50代後半にこれから起こりうる変化や今後のキャリア・ライフの拡がり、各種制度などについて理解してもらうための研修の導入が検討されていました。
今後のキャリア・ライフプランを見通す研修を企画
D社からいただいた与件に基づき、受講生が1)これからのキャリアとライフの変化をしっかりと認識できるようになる、その拡がりや豊かさを知り、今後のキャリア・ライフプランを描くきっかけにする、2)再雇用制度を利用する上で55歳からの5年間の働き方が非常に重要となることを認識する、3)マネープランの概要と会社制度を理解し、早めに準備する必要性を知る、という3点をねらいとした研修を設計しました。
具体的には、受講生には自らの価値観や強み・特徴を明確化するためのワーク、今後起こりうる変化を具体的にイメージするためのケーススタディ、マネープラン作りに役立つ情報提供、今後のキャリアに関連する会社の制度説明を受けた上で、今後の目標や行動計画を立案する、という内容です。とくに、ケーススタディでは、「役職定年」「介護」「再雇用」の3つの具体的事例をもとに、受講者がグループごとに意見交換をすることで、これから起こりうる変化について明確なイメージができるようにしました。また、研修の冒頭には、「再雇用時の報酬は55歳からの5年間の評価が影響するため、この5年間の働き方は非常に重要である」というようなメッセージを人事部の方から直接発信していただきました。
この内容を、一般職層と部長・支店長層に分けて実施。講師も、受講者の特徴に合わせて、女性が多い一般職層のクラスには女性講師を、部長・支店長層のクラスには金融機関で支店長経験のある講師を配置することで、受講者に寄り添った話ができるよう工夫しました。
キャリア・ライフプランを考えるきっかけに
受講者からは、「自身のキャリアを棚卸しし、価値観や強み・特徴を再確認することができた」「今後の人生について、仕事以外の観点があることに気づかされた」などの感想が挙がり、講師の話やグループ内の相互理解を通してねらいを達成できたと認識しています。とくに、部長・支店長層にはライフ・マネーについて初めて真剣に考える機会になったという方も多く、高い評価をいただきました。また、すでに今後の変化を見据えて準備を始めている方からも「今後の見通しを改めて整理できたし、周りと意見交換できたのがよかった」などの感想をいただいています。
研修担当の方からも、受講者が共感できる講師に担当を分けていることや、毎年の要望に応じてプログラム内容を柔軟に調整していることなどを評価いただいております。
今後は、再雇用の増加や社員の平均年齢の上昇に伴う健康経営の必要性という経営上の課題を受け、ケーススタディで健康経営の観点も盛り込んだ事例を作るなど、同社の変化や要請に応じてアレンジを加えながら、さらに充実した内容にしていく予定です。
この事例のまとめ
課題 | 55〜60歳に起こるキャリアとライフの変化に、自律的に対応する 仕事一筋でやってきた50代社員に対して、55歳から定年(60歳)までに起こりうる変化と、再雇用を選択する場合、55歳以降の5年間の評価が報酬に影響を及ぼすことを十分に認識してもらいたい。 |
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方法 | 52歳社員に対して、今後のキャリア・ライフプランを描くための研修を実施 「役職定年」「介護」「再雇用」など、55〜60歳までに起こりうる変化についてのケーススタディ、マネープランの作り方などをふまえて今後の目標・行動計画を立てる研修を行った。 |
成果 | 研修が、今後のキャリア・ライフプランを描くきっかけとなった 講師の話やグループ内の相互刺激を通して、今後のキャリア・ライフの拡がりや豊かさを知り、これからの目標を検討し、行動計画を立てるきっかけとなった。 |
研修導入企業情報
金融 D社
- 目的
- ミドル・シニアの活性化
- 年代
- 50代
- 業界
- 保険・金融