40歳以降の年代別に、キャリア自律意識を高めるキャリアデザイン研修を実施
ミドル・シニアのキャリアチェンジ後の意欲低下を防ぐ
金融機関、特に銀行におけるミドル・シニアのキャリアをめぐる動向として、現在、50代で役職を下の世代に譲ったのち、外部の組織に出向するのではなく、組織内で役割を見出し、活躍してもらう、というケースが増えてきています。
金融機関H社においても同様で、その場合の課題として、役職から外れたことによるモチベーションやパフォーマンスの低下や、それに伴う周囲の同僚への悪影響などが懸念されていました。これらを防ぐため、同社では、仕事を中心に据えながら自らの人生やライフスタイルを思い描き、会社への貢献を考えることを目的としたキャリアデザイン研修を40歳、50歳、55歳の3回にわたって行い、「自らのキャリアは自ら考え、描いていく」という意識を高めています。研修の内容も、役職から外れる時期や、組織内での役割を変えなけなければいけない時期がやってくることに目を背けず、残りの期間を意識しながら、前向きに今後のキャリアを考える機会になるよう、各年代が置かれた状況や傾向などをふまえながら工夫されています。
この3つの研修のうち、ライフワークスには、50歳向けの研修と、55歳向けの研修の担当をご依頼いただいています。
それぞれの年代で、会社への貢献の仕方を考える
50歳向けの研修は、同社が定めた「職場における中核的な存在として求められていることを正しく認識し、自分の進むべき方向を明確にする」「本格的に自分のキャリアを始動させる機会とする」という2つのねらいに沿って、自らの強み・持ち味の把握、これまでのキャリアの振り返り、環境変化の把握を行なった上で、今後のキャリアを考え、プランシートに記入する、という設計にしました。
一方、55歳向けの研修は、「自分の価値観を明確にし、働き方が変わっても自らモチベーションをコントロールできるようにする」「新たな立場で自らの価値観をどのように生かし、会社に貢献できるかを整理する」「話の聞き方のスキルを整理し、周囲と協調して本来の力を発揮できるようにする」という3つのねらいに沿って、仕事の価値観やキャリアの振り返りを行なった上でこれからの働き方を考え、プランシートに記入する、という設計にしました。
特に、55歳研修における「話の聞き方のスキルを整理し、周囲と協調して本来の力を発揮できるようにする」というねらいについて、経験豊富なベテラン社員として、今後は若手社員からも相談をされるような人材になって欲しいという同社の期待をふまえて、研修プログラムの中に若手社員が置かれやすい状況や悩みの事例、例えば、育児との両立に悩む若手男性社員の事例や、悩みや相談を上司に打ち明けづらいと思っている社員の事例などを作り、「その社員から相談を受けたときにどう対応するか」を考えてロールプレイを行う時間をつくっています。自分の受け答えやグループメンバーの対応を見て、自らのコミュニケーション手法を見直す機会にしてもらうとともに、若手社員が抱える課題や悩みを知り、自分ができることは何かを考え、キャリアプランに落とし込んでもらうことも期待しています。
キャリア自律の意識を高める機会になった
受講生からは、「これまでのキャリアの棚卸しと今後自分に何ができるかを考えるきっかけになった」「60歳以降の時間の長さに驚いた」「日々の忙しさに追われて将来のキャリアを考える時間がなかったが、55歳はラストチャンスだと再認識した」などの感想が挙がり、自律的にキャリアを考える意識を高める機会になっています。
H社では、40歳、50歳、55歳と年代で区切り、年代別の課題や状況をふまえたキャリア研修を体系立てて行うことで、一人ひとりがキャリアチェンジのタイミングを意識し、目標を定めるなど、自律的なキャリアへの意識を高めていくことができていると感じています。また、同期に近い社員同士で議論したり、それぞれの考えを知ったりすることで、個人で整理していると気づかないことに気づく、あるいは、健全な危機感や刺激を得て行動に移すといった効果も感じられます。
この事例のまとめ
課題 | キャリアチェンジのタイミングでのモチベーション低下などを防ぐ 50代で役職を外れた際、モチベーションやパフォーマンスを低下させることなく、会社への貢献の仕方を自ら考え、同僚と協調して本来の力を発揮してもらいたい。 |
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方法 | 40歳、50歳、55歳にキャリアデザイン研修を実施し、キャリア自律を促す 40歳、50歳、55歳の年代ごとに、置かれた状況や傾向などをふまえたキャリアデザイン研修を行い、「自らのキャリアは自ら考え、描く」という意識を高める。 |
成果 | 会社への貢献の仕方を考えるなど、自律的にキャリアを考える機会に キャリアチェンジのタイミングを意識し、新たな会社への貢献の仕方を考え、目標を定めて行動に移すなど、自律的にキャリアを考える意識を高める機会となった。 |
研修導入企業情報
金融 H社
- 目的
- ミドル・シニアの活性化
- 年代
- 50代
- 業界
- 保険・金融