転機を迎える50歳の変化を前向きに捉え、広い視野を持った適応を目指す
5年ごとのキャリア研修で、キャリア自律の意識を醸成
当社では2013年度より、「自分のキャリアは自分で形成する」という方針のもと、入社5年目、10年目、15年目、45歳、50歳、55歳を節目として、それぞれの年次・年齢の社員を対象に、自分を見つめ直し、将来に向けたキャリアプランを立てる研修を実施しています。
研修を導入した当初は、「なぜキャリアを自分で形成しないといけないのか?」「キャリアは会社が与えてくれるものではないのか?」などの声が多く聞かれました。しかし、人生の主体はその人自身ですから、キャリアを自分で考え、築いていくのは当然のこと。そして、会社は社員にキャリアを与えるのではなく、社員のキャリア形成をサポートするものです。この考えを研修の場で地道に伝え続けた結果、今では「5年に一度、キャリアを棚卸ししてキャリアプランを立てる」という意識が多くの社員に浸透しています。
なお、5年目、10年目、15年目向けは「キャリア研修」として仕事に重きを置いた内容に、45歳以降は「ライフプランセミナー」として仕事だけでなくマネー形成なども含めた人生設計への関心を考慮した内容にしています。その中で、50歳向けのライフプランセミナーをライフワークスさんに依頼し、50歳向け以外の研修を社内講師が行っています。
50歳向け研修のテーマは「役割の転機を迎える準備を始める」
50歳向けのライフプランセミナーを社外に依頼しているのは、当社における50歳という節目の重要性をふまえてのことです。50歳は、定年(60歳)まであと10年という、定年後の暮らしやキャリアを意識する入り口に立つ年齢です。また、仕事とライフステージにおいて役割の転機を迎える準備を始める時期でもあると私たちは考えています。
役割の転機とは、例えば、仕事においては、これまでの成果をふまえて新たな部署・関連会社での活躍を求められる可能性が出てきます。中には、培った知識や経験を生かしづらい異動・出向となる場合があり、そのような場合であっても、そうでない場合でも、新たな挑戦の機会として前向きな気持ちで臨んでほしいという期待があります。また、ライフステージにおいても、体力の衰えや介護の始まり、子どもの独立など、変化が起こる段階を迎えます。
そこで、プロの力を借りて、50歳社員がライフ・キャリアの変化を想定し、かつ、お金に関する情報も得て幅広い視点で今後の人生をプランニングできるよう、ミドル・シニア社員の変化への適応やキャリア自律を促す研修に実績のあるライフワークスさんに依頼しています。
研修では、45歳研修を受講済みであることをふまえた直近の5年間のキャリアの棚卸しをしたり、公的年金制度やマネープランの作り方を学んだりもしますが、とくに重きを置いているのは、具体的な事例をもとに、これからのライフやキャリアに起こりうる変化をイメージし、その変化に前向きに取り組む意識を醸成することです。事例や講師の方の声かけを通して、「まだまだキャリアを磨けるし、人生設計も新たにしていけるものだ」「変化があってもポジティブに対応していけるものだ」という意識を持てるよう働きかけています。
ライフプランセミナー50の概要
日程 | 1日 |
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対象 | 50歳 |
プログラム概要 |
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受講後には多くの受講者が生き生きとした表情に
受講者からは、研修中のワークなどを通じて「環境の変化に積極的に対応していきたい」という発言が比較的多く出ており、手応えを感じています。ほかにも、「職場や経験が異なる同年代の意見を聞いたことで自分を客観視できた」「『もう50歳と思うのか、まだ50歳と思うのかで違う』という講師の言葉に刺激を受けた」などの感想が例年多く挙がっています。研修終了時には、多くの受講者が開始前よりも生き生きとした表情になっており、「これからのライフプランをしっかり考えていこう」という気持ちで職場に戻っていっていることを実感しています。
また、受講者からの感想にあったように、講師の方の貢献も大きく、ご自身の豊富な講師経験やプライベートでの活動経験をもとに、さまざまな知見を受講者に向けてシェアしてくださるので、受講者にとって大きな刺激になっています。ライフワークスさんはミドル・シニア向けの研修に力を入れていらっしゃるだけあって、研修プログラムの構成・内容も50代へのアプローチとして的確で、しっかりとしたノウハウをお持ちですから、今後も引き続きお願いする予定です。
今後も必要な情報提供をし、50歳社員の意欲を高めていきたい
今後は、50歳向けのライフプランセミナーを継続しながら、受講者からの「マネープランを立てるのに必要な情報をもっと知りたい」という声に応えるべく、研修とは別に、マネー関連の社外セミナーの情報をタイムリーに提供していくことを検討する予定です。受講者にとってマネープランは切実な課題であることは承知していますが、55歳向け研修でより詳しくレクチャーすることや、今後、年金制度が変化していく可能性があることなどを鑑みると、50歳に対しては世の中の動きに合わせてタイムリーに設計されている社外セミナーを薦めることが適切だと考えています。
また、キャリア開発や育成とは別の文脈で、会社として社員の学び直しを重視し、必要なサポートをしていく方向に舵を切っていることを受け、社外の学び直しの機会・場に関する情報を提供する仕組みの検討に入っています。このような情報提供を通して、50歳の社員に対しても「人生100年時代の今、50歳は終わりが見えてくる年齢ではなく、折り返し地点。まだまだ自分磨きをして、次のステージにステップアップする年齢だ」という動機づけができればと考えています。
この事例のまとめ
課題 | 50代でのキャリアやライフステージの変化に前向きに対応する 異動や出向、体力の衰え、介護など、キャリア・ライフともに転機を迎える可能性が高まっている50歳の社員に対して、転機を前向きとらえ、適応の仕方を幅広い視点から考えてほしいと考えた。 |
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方法 | ライフ、キャリア、マネーについて、幅広い視点から将来像を考える研修を実施 50歳を「役割の転機を迎える準備を始める時期」と位置づけ、今後のライフ、キャリア、マネーに起こりうる変化を知り、自分にひきつけてイメージしながら今後のライフプランを考える研修を実施。 |
成果 | キャリアやライフステージの変化を前向きに捉える意識が醸成された 受講生の多くにおいて、変化を前向きに捉え、積極的に対応していこうという意識が醸成され、今後のキャリア・ライフプランの検討への意欲も高まった。 |
取材日: 2018年8月29日
研修導入企業情報
日立キャピタル株式会社 様
- 目的
- ミドル・シニアの活性化
- 年代
- 50代
- 業界
- 保険・金融
企業のご担当者様
日立キャピタル株式会社
人財本部 人財開発部村谷 尚子 様