部下への「キャリア自律」サポート、上司へのフォローアップで、自ら挑戦できる組織へ
この事例のまとめ
課題 | 社員のキャリア自律を目指し研修を実施していたが、その体系化や継続性が課題に。さらに、部下のキャリア支援における"上司ならでは"の悩みが表面化したことにより管理職のフォローも必要であると判断し、部下、上司、それぞれへのアプローチが可能なキャリア開発支援の導入を検討した。 |
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方法 | 「年代別キャリア研修」を新設し、各年代のキャリア転機に見られる課題に沿ったプログラムを実施。また、管理職向けの「キャリア面談支援研修」を実施し、部下とのキャリア面談のフレームワークを習得する機会を設けた。その後、キャリアアドバイザーによる「キャリアコンサルティング」(個別面談)を設け、研修ではカバーしきれない個々の課題もフォローした。 |
成果 | 研修の体系化、およびその後の個別フォローアップによって、キャリアとは自ら考え、デザインするものであるという意識が醸成された。 また、上司がキャリア面談におけるフレームワークや向き合い方を学び実践することで、部下とのキャリア面談におけるポイントや、目標面談とキャリア面談の違いを理解した。 |
ネットワークセキュリティといったITインフラから、ソフトウェアの品質向上、コンタクトセンター業務支援、教育機関向けのクラウドシステム、公共機関向けのDXソリューションなど、多岐にわたるITソリューションを開発・提供するテクマトリックス株式会社。
社員自身が主体的にキャリアを描く「キャリア自律」の重要性を認識し、継続的に支援できる仕組みづくりを目指してライフワークスに問合せをいただきました。今回どのような背景があってキャリア開発支援を導入されたのか、また実施して見えてきた変化や課題についてもお話を伺いました。
ライフワークスについて
設立から20年以上キャリアに特化し支援している、ノウハウや事例を活かしご提案可能です。
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個々のライフステージがある中で、キャリア自律をどう定着させていくのか...感じていたさまざまな課題
── まずは、外部によるキャリア開発支援のご導入を検討された背景をお聞かせください。
当社では社員自らが中長期的なキャリアプランを実現できるよう「キャリアデザイン制度」を導入しています。しかし、考える側の部下、それを伴走する側の上司ともに手探りな状態で、どのようにキャリアに向き合えば良いのか、会社として継続的に支援していく仕組みがありませんでした。そのため、まずは個々のライフステージと向きあいながら、会社でどのように貢献していくのかを考える機会として研修を実施すること。さらに、計画をアクションに移す為の支援としてキャリアコンサルタントによる面談を実施することを検討しました。
とはいえ、自社内で実施するのは難易度が高い・・・。そこで、ここはプロにお任せしようと考えたのがライフワークスさんとの出会うきっかけになります。
── キャリアを自ら考える制度はありながらも、それを〝継続的に支援する〟場が必要だったということなのですね。
はい、以前もキャリア系の研修自体は何度か実施していました。しかし、継続して支援することがなかなかできていませんでした。また、当社ではあらゆる業種、業務領域に特化したビジネスを展開しているため各事業部に専門性の高い営業と技術の人材を配置しています。それが当社の強みであり、持続的な成長を遂げてきている理由ではありますが、今後はキャリアの選択肢を柔軟に考えてもらう機会を整備していくことが重要だと考えています。一つの専門性を極めることはもちろん歓迎しますし、キャリアチャレンジ制度(自己応募型の異動制度)を活用して他の専門性を身に着けることも良い。いずれにしても個々人の得意とするフィールドを各自が認識し、そこで得られる"やりがい"を醸成していくことに重きを置いています。そんな会社としての想いを社員に知ってもらうとともに、だからこそ「自分はどうありたいのか?」を常に自分に問いかけながら、キャリアを考え実行していくアプローチができればと考えていました。
── そのための施策として、他に取り組まれてきたことはありますか?
上司向けにキャリア面談支援研修を実施しました。上司は部下のキャリアの伴走者であり、中長期視点でサポートしていく立場であるものの、キャリア面談と目標設定面談の違いがわからず、キャリア面談が短期的な目標の話になりやすいといった声がありました。
また「キャリア」というものは、ライフステージにおけるさまざまな出来事にも密接につながっているため、上司はどこまで踏み込んでいいのか?と悩んでしまうことも。こうした個別の課題に対する解決も、外部のキャリア開発支援企業に期待していたことのひとつです。
「解」を出すことがゴールではなかった?取り組み後に見られた、上司と部下の"つながり"の変化
── そうした課題解決に向けて、弊社サービスをご導入いただきました。さまざまなキャリア開発支援のサービスがあるなか、その決め手は何でしたか?
どこの企業も魅力的ではありましたが、ライフワークスさんは初めてお話を伺ったときから当社の潜在的な課題を引き出してくださり、打合せの度に当社への理解を深めて提案内容をブラッシュアップしてくださったことが決め手でした。
また、すべての社員に対してキャリアを"自分ごと"として捉えてもらうには、私たちだけではハードルが高いと感じていましたが、最後まで丁寧に寄り添ってくださったのもありがたかったです。社員にとってこのような新しい取り組みは、正直なところ少し面倒なことかもしれません。そこをいかにポジティブに捉えてもらえるのかは、会社からのメッセージがとても重要です。ライフワークスさんは他社の事例などもご提示いただきながら、施策実施を通してどのようなメッセージを受講者に届けるのかという点まで、社員が自分事として研修に取り組めるよう親身にアドバイスをくださいました。
── ご導入から今日まで、実施された取り組みをお聞かせください。
まずは20代中盤~30代中盤の社員を対象にしたキャリア研修を行いました。そもそも「キャリアとは?」といった基礎的なところから、ライフラインチャート、自身が大事にしているキャリアの価値観、上司へのキャリアインタビューを通して、自身の特性を長期的にどう育んでいくのかを考えるきっかけは作れたのではないかと思っています。
研修後はキャリアコンサルタントによる個別面談を実施し、 "アクション"につなげるところまでフォローしています。
また、部下のキャリアをサポートする側である上司を対象にした研修を実施し、Will、Can、Mustのフレームワークの活用の仕方や、ケーススタディを用いた実践的な研修を実施しました。研修後のアフターフォローとして、部下育成に課題を感じている上司には、希望制でキャリアコンサルタントとの面談機会まで設けています。
── 実際に取り組まれてみて、みなさんの反応はいかがでしたか?
20代中盤~30代中盤の社員においては「自身のキャリアをどのように考えていけば良いか分からなかったが、研修や面談を通して自分に向き合うきっかけになった」といった声が聞かれました。
このように考える機会が持てること自体がとても重要なことですし、今後は自身の特性を活かしたキャリア形成を考える文化を定着させていきたいと思います。
また、上司向けの研修でも「キャリアデザインのフレームワークを知ったのは大きな収穫だった」、「キャリアにおける面談と、目標設定の面談は大きく異なることを知った」、「キャリア面談では部下が主役であり、上司はあくまでも伴走者であることを理解した」といった声も聞かれています。
── 上司の方のマインドにも変化が見られたのですね。
はい。ただでさえ日頃の1on1や、目標設定やフィードバックの面談って難しいものですが、そこにきて部下のキャリア形成まで...となると重く受け止める上司は少なくなかったです。
でも、キャリア面談後のアンケート結果を見ますと、上司側の自己評価よりも、部下から上司への他己評価は高かったという結果が見られました。これは上司にとっての自信に繋がったと思います。
面談となるとつい上司側は「解」を出さなければならないと思いがちですが、キャリアにおいてはそうではありません。大切なことは部下との対話を重ね、部下がどうありたいのかを傾聴し、理解を深めること。その上で上司として支援できることをともに考えていくこと。あくまでも伴走者であるということを少しずつ経験を通して認識してもらえればと思っています。
── 上司と部下、個々の変化だけではなく、そのつながりにおける変化も感じられますね。
そうですね。当社では一定の経験を積むと、その先のキャリアとしてマネジメント職、スペシャリスト職を志望してもらうことになるのですが、最近ではさまざまな上司の方から「〇〇さんはマネジメント志望、〇〇さんはスペシャリスト志望」といったようにメンバーの数年先のキャリア思考を伝えてくれる人が増えています。組織目標を達成するには適材適所の人材配置はかかせませんので、各メンバーのキャリア形成と会社の組織構成を重ねて考える上でも、そうした情報は重要だと思っています。
自分自身を見つめる機会によって、より強い組織へ
── これまでの取り組みを踏まえ、今後の展望をお聞かせください。
今後も年代別に研修と面談をセットで実施し、まずはキャリア自律のサイクルを定着させていきます。
また、中長期的には社員自らが描いたキャリアが経営戦略や事業戦略に繋げられるよう我々の方で工夫した取組みを行い、その結果エンゲージメントが高められるような活動にしていきたいと思っています。
とにもかくにも、これら活動の前提になるのは、上司と部下の信頼関係の構築ですので、双方の"絆"を大切にするカルチャーを大事にしていきたいです。
── 最後に、同じように社員の「キャリア自律」促進に向けて取り組みをされている企業様に向けて、メッセージをお願いします。
前述にもありますが、キャリアとライフステージは密接につながっているものです。昨今では子育て、介護と両立をしながら働く方も増えてきているなか、「仕事」という側面だけでキャリアを考えてもどこかで苦しくなってしまうと思います。大切なのは、自分はどうありたいのか?と自分自身をしっかりと見つめながら主体的に考えること。会社がキャリアを支援する取り組みは、主体的に人生を考えるにあたっても良い機会となると信じてこれからも活動を続けていきます。
ご担当者様:
テクマトリックス株式会社
コーポレート本部 人事部人材開発課 課長 齋藤 睦様
コーポレート本部 人事部人事課 課長 門矢 草太郎様
※それぞれD&I推進室 兼務
研修導入企業情報
テクマトリックス株式会社
- 目的
- 管理職の育成力強化
- 年代
- 20代 30代 40代 50代
- 業界
- 情報通信
営業担当者の声
担当者:金丸 紘子
テクマトリックス様は、従業員が「何のための施策なのか」に立ち戻れるようにトップのメッセージ発信にも力を入れています。また社長含む役員全員が管理職向け研修にご参加されるなど、キャリア自律支援に当事者意識をもって関わっていく意気込みを行動で示すことで、現場管理職の方々も経営の本気度を実感されていることと思います。明確な目的と強い意志を持った発信、行動が施策の効果を促進し、従業員の皆様が前向きにメッセージを受け取ることに繋がったのではと実感しています。
とはいえ単発の研修だけでは行動化は難しく、定着には時間を要します。
今後は年代別研修やキャリアコンサルティングの対象を広げながら、定期的に自己を見つめ直す機会を設けていきたいとの方向性をお伺いしていますので、浸透と定着に向けたお手伝いができればと考えます。また、部下のキャリア面談への満足度は向上した一方で、管理職自身の不安や「傾聴と対話の継続」へのフォローは引き続き必要だと感じています。管理職の皆さまが自信をもって部下に向き合い、共通言語を使って上司部下が対話できるところまで、人事の皆さまと一緒に、しっかりと伴走ができればと思っています。