上司へのキャリアマネジメント力の向上支援が起点の研修で、組織の「キャリア自律」を促進。データドリブンで定量・定性の成果を発揮。

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この事例のまとめ

課題 社員のキャリア自律促進を目指すも、社内サーベイおよびヒアリング調査を実施した結果、年代やライフステージ、ライン長(上司)やメンバー(部下)といった社内での立場によって異なる悩みが浮き彫りとなった。なかでも、メンバー層の支援を担うライン長自身が「メンバーへのキャリア支援のポイントがわからない」という悩みは根深く、まずはこの課題解決が「キャリア自律促進」のカギになると判断。ライン長向け研修の構築・実行に着手した。
方法 全ライン長を対象に「キャリアマネジメント研修」を必須参加で実施。「キャリア自律とは?」といった基礎的なところから、キャリア面談の目的や進め方のフレームワークなどを習得し、ライン長の悩みの傾向から想定したケース演習を実践した。
成果

研修実施後のアンケートでは、キャリア支援における「理解度」と「役立ち度」がともに97%という高い数値での結果が得られた。
そのほか、エンゲージメントサーベイにおいて「上司からのアドバイスや支援が有効である」とする回答が15%アップ。そして、多くの参加者からポジティブな感想が聞かれるなど、定量・定性の両面で成果を得ることができた。

電気通信事業をはじめ、金融、エネルギー、DXなど、幅広い事業を展開するKDDI株式会社様。ジョブ型の人事制度導入をきかっけに社員の「キャリア自律」促進に注力されるなか、ライン長に向けた支援施策としての効果的なアプローチ法を求め、ライフワークスに問い合わせをいただきました。

今回は、上司に向けた施策を検討した背景や具体的な取り組み、得られた成果などについてお話を伺いました。

ライフワークスについて

設立から20年以上キャリアに特化し支援している、ノウハウや事例を活かしご提案可能です。
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「ライン長との関係性」と「キャリア自律」の相関に着目し、キャリアマネジメントの支援に着手

── まずは、社員のキャリア自律に向けた取り組みについて、KDDI様が注力される背景をお聞かせください。

私たちKDDIグループは、4年ほど前に「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入しました。このジョブ型の制度下においては、社員一人ひとりがプロフェッショナルとなり、自ら価値の創造へ臨んでいく姿勢が求められます。
ここで大切となるのは、手放しで社員の自律性を求めるのではなく、一人ひとりの能力が最大限発揮できる環境を会社が提供しながら、個々人の成長を支援すること。そういったサポートがあってこそ、本当の意味で多様な人財活躍が実現するのではないかと考え、社員のキャリア自律に向けた取り組みに注力しています。

── そうした取り組みのなかで見えてきた課題には、どのようなものがありましたか?

当社では、エンゲージメントサーベイ内でキャリア自律における状態を調査しているのですが、まずそこで見えてきたのが、一口に「キャリア自律」と言ってもそこに抱える悩みは多種多様であるということでした。年代やライフステージ、あるいは「ライン長」や「メンバー」といった社内での立場などによって、その悩みや立ち止まる理由はさまざまだということがわかりました。
さらに、それまでメンバーシップ型の制度下で仕事をしてきた社員にとっては、ジョブ型の導入によって「自らがキャリアを選択する」ことを求められるようになり、少なからず戸惑いも見られました。
加えて日々の忙しさもあり、結果的に自身のキャリアについてうまく向き合えない状況にあるということが課題として浮き彫りになりました。

── キャリア自律における悩みのポイントや深度など、多岐にわたっていたのですね。

はい。さらに紐解いていくと、メンバ―層の悩みにおいてはライン長との関係性が非常に大きく影響していることがわかりました。とはいえ上司自身も、具体的な支援方法や、いわゆる年上メンバーへの向き合い方などに試行錯誤しながら悩んでいる状態です。
そこで、まずはメンバーのキャリア自律を支援する側であるライン長の変容が重要であると考え、上司向けにキャリア支援力向上を目指す施策を検討しました。

── 弊社サービスをご導入いただきましたが、どのような点に魅力を感じていただけたのでしょうか。

まず、ライフワークスさんは多くの大手企業向けキャリア支援の実績をお持ちだという点です。当社の事業形態や規模感に近い企業様の支援事例を拝見し、お力添えいただいたあとのイメージを明確にすることができました。また、自社の状況について多様な観点で話を聞いてくださり、当社の課題解決にフィットする提案をしてくださったのも非常に印象的でした。無理難題だと思われることでも「どうやったら目的を叶えることができるか」というスタンスを崩さず一緒に考えてくださいました。まさにパートナーだと思っています。

定量面・定性面ともに見られた成果。
必須参加の難しさを感じつつも「やってよかった!」

── では次に実際の施策について、その取り組み内容をお聞かせください。

上司にあたる「ライン長」というポジションの社員、約1,400名を対象に「キャリアマネジメント研修」を必須参加で実施しました。まずは、上司自身の仕事における価値観と向き合うところからスタート。次に、キャリア面談の意義や進め方を学んでいき、ケース演習まで行います。そして最後には、弊社が作成した年下メンバーと年上メンバー社員にライン長に対する想いを語ってもらったオリジナル動画を観てもらいました。
ここはライフワークスさんにもご相談しながら、ライン長に、キャリア支援の意味を腹落ちしてもらい、難しく考えるよりも日常のほんの一言の声掛けと継続が実はとても重要であることを届けるために組み込ませていただいた部分です。

── こだわりが詰まったプログラムになったのですね。必須参加としたのもそのひとつかと思いますが、そこへの想いをお聞かせください。

社員の声から、"どんなライン長のもとで仕事ができるか?"といった、ある意味偶発的な環境によって、個人の成長やキャリア自律の可能性が左右されることもあるかもしれない...。そう考えたときに、それはフェアではないなと。会社としてその公平性を保つことで、少しでもそういった事象を防ぎたいと思ったんです。

限られた世界の中にいることで悩みが深くなってしまったり、転職はおろか心身の不調にまでつながってしまう可能性もゼロではない。であれば、できる限りそうした悩める社員が生まれないよう手を打つのが人事の役割だと考えました。

また、ライン長からもメンバーへのキャリア支援における悩みの声が多く寄せられ、全ライン長に必須で参加いただくことが、組織開発や社員のキャリア開発において重要な鍵になると思い、必須研修として展開しました。

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── 研修を実施してみて、どのような成果が見られましたか?

研修後のアンケートでは、キャリア支援における「理解度」と「役立ち度」がともに97%と非常に高い数値の結果が得られました。
また「資料が充実していて講義がわかりやすかった」「フレームワークの活用に関する説明がわかりやすかった」といったポジティブなコメントも多く届いています。
さらにエンゲージメントサーベイにおいても「ライン長からのアドバイスや支援が有効である」とするメンバー層の回答が15%アップするなど、定量・定性の両面で良い傾向が見られました。

── とても大きな成果ですね。その他に得た気づきはありましたか?

研修実施前に設定したKPIのひとつに、エンゲージメントサーベイ内の「部下へのキャリア支援のポイントがわからない」との回答を10ポイント減らすというものがありましたが、ここに関しては-1ポイントにとどまる結果となりました。
これは一見するとネガティブな結果にも見えるのですが、追跡調査を行った結果、研修を通してメンバーへのキャリア支援に対するスタンスを見直したからこそ、あらためてキャリア支援の難しさを感じているライン長が増えたことが要因であると考察しております。
つまり、ライン長の意識そのものは高まっていると言え、継続的にサポートしていくことによって好転していくであろう伸びしろであると捉えました。

── 次にやるべきことが見えてきたのですね。

はい。メンバーのライフステージや目指すキャリアはそれぞれであることは当然なので、実際の1on1(キャリア面談)では研修で学んだ通りにいかないこともあるでしょう。であれば、よりリアルに近い面談時の個別課題にフォーカスし、学びを深め続けていくことが必要であると考えています。この継続的な施策としては、キャリア面談を実際に行った事例をライン長同士で共有し合うワークショップや、キャリアコンサルタントとライン長が個別面談で相談・スーパーバイズを受ける場を設けるなど、より実践的な取り組みをライフワークスさんと進めています。

継続こそがカギ。
誰もがキャリアについて考え続けることのできる環境を

── 今回の「キャリアマネジメント研修」の実施を通して、どのようなことを感じていらっしゃいますか?

研修だけで大きな変革を起こすことはそう簡単なことではないですが、今回これだけの定量・定性の結果を得られたことで、研修をきっかけとして個々人にたしかな変化が生まれること。そしてその小さな変化が集まることが大きな結果につながるのだということを、あらためて実感しています。

── 今後に向けて、新たにできた目標はありますか?

やはり一番には、継続性を担保しながら施策を展開していくことです。
まずは、ライン長・メンバーともに、「キャリアについて考える機会を止めない」こと。そして、もしそのなかで立ち止まる社員がいたときには、いつでも支援できるような環境の構築を目指していきたいです。

── 最後に、同じように社員のキャリア自律に向けて取り組みをされている企業様に向けて、メッセージをお願いします。

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今回当社は、社員のキャリア自律促進に向けて大きなフックとなるような施策を実施することができました。これは、ライフワークスさんの強みである、専門性という外の力をお借りすることで実現できたものだと感じています。 私たちのリクエストを盛り込みながら、体系的に1つの研修を作り上げていただけました。
多種多様な企業様を支援されている実績から、プロフェッショナルな視点や意見を頂けることは、より効果的な研修実施にも繋がるのではないでしょうか。

ご担当者様:
KDDI株式会社
コーポレート統括本部人事本部 人財開発部 キャリア開発グループ
友清 絵梨香 様

研修導入企業情報

KDDI株式会社

目的
管理職の育成力強化

営業担当者の声

佐々木 淳

担当者:佐々木 淳

KDDI社は企業理念に「全従業員の物心両面の幸福の追求」を掲げ、人財ファースト企業への変革を進めていらっしゃいます。その方針に則り、社員のキャリアビジョンと、会社の方向性をすり合せていく様々な制度や取組みを実施なさっています。

そういった活動の有用性を高めるには、①ライン長の方々にKDDI社の社員育成に対する思想を踏まえて、部下のキャリア支援を行うことの意義を深く理解していただくこと ②その為に社員が活用できる社内の制度や仕組みを把握してしていただくことが非常に重要であると考えました。
そのため、研修を企画するにあたっては、以上2点の課題を解決できるようにご担当者様と綿密に意見交換、情報連携したうえで、研修コンテンツに反映することを心掛けていました。

研修後のアンケートの結果は、ライン長の方々が部下とのキャリア面談に前向きに臨む意識が醸成できたと解釈できるものでした。
しかし、キャリアに対する課題は人それぞれであり、タイミングや転機によっても変化します。
したがって、「ライン長のメンバーへのキャリア支援力を強化する」課題を解決するには、一度きりの施策でではなく、継続的に支援に取り組むことが必要だと考えます。
既にKDDI社では、本事例施策の後に継続的なライン長の支援に取り組んでおられます。
弊社としても引き続き課題解決に向けて、共に議論できる関係性でありたいと願っています。

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