花田光世教授から学んだ"キャリア自律"の3つのポイント<HRカンファレンス2013秋に行ってきました(1)>
2013年11月12日~13日の2日間で、日本の人事部主催のもと開催された『HRカンファレンス2013秋 ~人・組織・経営のイノベーション~未来を創る新成長戦略~』に行ってきました。
そのなかでも特に興味深かった、 慶應義塾大学総合政策学部教授 同大学キャリアリソースラボラトリー代表の花田光世教授の基調講演『ダイバーシティ開発とキャリア自律で社員は元気になるか?』 で感じたことをまとめました。
コラム
【参考資料】特別講演「普通の人がイキイキする人事・キャリア支援のありかた」講演録
慶應義塾大学名誉教授 花田光世先生に当社主催のセミナー(2019年)に登壇いただいた際の講演録です。ダイバーシティ時代における普通とは、キャリア支援における個人の能力開発の重要性、などの話題のほかに、これからの人事の在り方やキャリアコンサルタントの役割などについてもお話しいただきました。講演録はこちらからダウンロードしてください。
慶應義塾大学名誉教授 花田光世先生に当社主催のセミナー(2019年)に登壇いただいた際の講演録です。ダイバーシティ時代における普通とは、キャリア支援における個人の能力開発の重要性、などの話題のほかに、これからの人事の在り方やキャリアコンサルタントの役割などについてもお話しいただきました。講演録はこちらからダウンロードしてください。
ダイナミックプロセス型キャリア論から感じたキャリア自律のための3つのポイント
講演の中で、キャリア自律につながる、これからの新しいキャリア論として『ダイナミックプロセス型キャリア論』が定義されていました。
1.職務満足ではなく、修羅場に向き合う当事者意識
いい仕事(希望の仕事)、いい人間関係、高い報酬、外的キャリア視点での社員の職務満足は、組織への定着とモラルを高める。
一方で、現実には、希望とは言えない仕事に就いたり、上司とうまくいかなかったり、個人は修羅場に直面する。修羅場を乗り越えるのは職務満足ではなく、修羅場と向き合いそれをチャンスと捉える当事者意識であり、修羅場を乗り越えることで個人は成長実感を得る。まずは、自分の成長に向き合って一歩前に踏み出すこと。
2.自己実現できるほど世の中は甘くない、今、直面している問題に向き合う
競争変化、M&A、キャリアダウンやポストオフなど、常にキャリアアップができるような安定した仕事環境はない。組織も、たくさんの階層を用意し登山のように登らせてモチベーションを高めるという従来の人事が崩壊している。仕事を通した自己実現という視点から、今、現実に直面している問題を成長機会と捉えて行動するキャリア観が、変化を生き抜くために重要となってくる。
3.主体的・能動的な成長のきっかけ作りが、新たなチャンスを生む
長期的なキャリアの視点で見ると、環境が変化する世の中においては、スキルはすぐに陳腐化し、その度に新たな仕事・新たな能力が求められる。変化を成長のきっかけと捉え主体的・能動的に仕事に取り組んでいれば、新たなチャンスが生まれてくる。
キャリア自律は個人の問題だが、支援しない組織は内部崩壊する
キャリア自律は個人の問題としつつも、個人が変化や困難に向き合うための、人事としてのサポートの重要性が訴えられていました。
成果主義の導入で選抜色が強まるなか、Bクラス社員のモチベーション低下が著しい。この層の自衛意識の高まりと流動化による組織の内部崩壊を防ぐには、"一歩前に踏み出したい"という前向きな個人の意識に対するサポートが人事施策として必要。
「キャリア自律は優秀な社員の流出を招き、やはり内部崩壊するのでは?」と人事担当者から質問を受けるが、企業は、優秀な社員には手厚い内的キャリア支援を行ってきていて、それは引き止めとして機能している。
個人が主体的に相互作用し合う、ダイバーシティ開発へ
講演では、キャリア自律とダイバーシティの関係にまで踏み込んでいました。
"ダイバーシティは個人の成長を促進する"という視点から、組織は、多様な人々が働ける環境を構築<インクルージョン>したうえで、多様な個人同士が主体的に相互作用できる場や支援の仕組み作り<インテグレーション>が必要。
研修は"一歩の踏み出し"をどこまでサポートできるか?
個人は、当事者意識、前向きさを持って主体性を発揮し続けなければならない。
組織には、個の視点に立った人事施策が求められている。
個人にも、組織にも必要な今後の課題が明示された講演でした。
では、キャリア自律のきっかけとして提供しているキャリア研修は、どこまで個人の前向きな成長意欲と当事者意識を醸成できるのか?と、研修サービスを提供する当社としても大きな課題を感じ、向き合えた講演でした。