人材育成とは?手法や必要性、効果上げるポイントを解説

人材育成とは、一人ひとりの主体的なキャリア形成がますます求められるようになった今日では、「企業の成長とともに自らも成長できる人材を育てること」ということもできます。このコラムでは、こういった人材育成の方法やポイントについて考えてみたいと思います。

2019.12.19
コラム

人材育成とは

人材育成はしばしば「企業に貢献する人材を育てること」と考えられてきました。そこでは「企業の定める人材要件に合わせて、特定のスキルや経験を保有する人材を育てること」が主に重要な目的として捉えられがちのようです。

他方で、今日においては、働く一人ひとりのキャリア自律が求められるようになりました。つまり、人材育成の定義は、企業の成長と個人の主体的なキャリア形成との両者を視野に入れるならば「企業の成長とともに自らも成長できる人材を育てること」ということもできるでしょう。

そこで、今回は、企業とともに自律的に成長する人材育成の方法やポイントについて考えてみたいと思います。

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人材育成の方法

企業の成長戦略の中で、人材とはどのような存在で、育成上の指針は何かということを定めておくことはもちろんですが、例えば、新人社員は「早期に組織の一員として社会化」、中堅社員は「高い専門性とリーダーシップの発揮」、ベテラン社員は「組織コミュニケーションの促進」といったように、対象にあわせた期待役割と人材イメージを明確にしていくことも重要です。あるいは、それぞれの対象のスキルマップ等を作成して置くなど、様々な工夫によって、人材イメージを明確にしていきます。

次に、新人から中堅へと移っていく期間に成長の計画を支える仕組みや施策、プログラムを設計し、体系的に人材育成を遂行します。目標に対しては、いきなり大きなステップを踏むのではなく、一つひとつ確実にスモールステップで進んでいけるようなプロセスを設計すると良いでしょう。例えば、厚生労働省が公開している「キャリアマップ」などを参考にしてみるのも良いかもしれません。

【参考資料】
厚生労働省WEBサイト「職業能力評価基準について」
キャリアマップ、職業能力評価シート、導入・活用マニュアルなどは上記WEBサイトからダウンロード頂けます。

人材育成の具体的な方法には、大きく分けると職場の実務の中で行われるOJT(On the Job Traning)、研修等の職場外の能力開発の機会を利用して行われるOff-JT(Off the Job Traning)があります。とりわけ、自律的な人材を育成するためには、社内公募による新たなポジションへのチャレンジを推奨したり、キャリア開発研修によって自らのキャリアの目標と組織の目標のすり合わせを行うなど、社員が自ら考え、自発的に行動を起こすような仕掛け、仕組みなどを育成計画の実行計画の中に組み込んでおくことは欠かせません。

キャリア自律支援も視野に入れた人材育成を成功させるためのポイント

OJTの場合、実務を通して実践力の高いスキルや知識が早期に身につくというメリットがある反面、職場の先輩や上司といったトレーナーとなる存在の能力や正確によって得られるスキルや知識にばらつきが生じるというデメリットもあります。

こういった育成方法の特性は理解した上で、人材育成計画とプログラムなどを設計するのがポイントではありますが、それ以上にもっと重要なのが、人材育成計画がうまくいっているのかどうかを捉える方法を定めることだといえます。

例えば「3年以内に新たに管理職を3名登用する」という目標を定めた場合、現在の管理職候補はどれくらいいるのか、過去の管理職登用割合はどれくらいか、といった実績の把握もさることながら、目標に到達するためのより実効性の高い方法を検討し、例えば、上司と部下の面談をMBOを目的とした年2回の機会にキャリア面談を2回加えるといったかたちで、上司と部下の接点を増やすだけでなく、キャリア意識のすり合わせをする方法も考えられます。
あるいは、上司が部下の育成の度合いを確認するためのチェックシートを利用したり、キャリア形成の度合いについてのアンケートを実施するなど、定期的にキャリア自律と人材育成との進み具合を把握できるような状態にしておくと良いでしょう。

上司との面談やアンケートなどでは社員のキャリア形成の状況が把握しづらいという場合は、キャリア・カウンセラーといった外部の専門家に依頼することも有効です。

おわりに~人材育成を成功させるために

今日ではビジネスの環境がめまぐるしく変化し、顧客が必要とする製品やサービスの様子も同じく変化しています。
この変化に合わせて、企業の人材に求められる要件も今後ますます変わっていくことは想像に難くありませんが、その要件をただ新たなかたちに設定して、受け身な姿勢で社員がそこにたどり着くだろうと待っているだけでは、もしかすると企業の成長は停滞してしまうかもしれません。

企業によって組織風土や文化が様々なように、人材育成の意味や目標、方法も企業によって千差万別でしょう。さらに、一人ひとりのキャリアの目標も多様化しています。
このような状況で、社員のキャリア自律を促しつつ人材育成を果たすには、例えばセルフ・キャリアドックを利用するなど、細やかでありながら体系的なキャリア開発支援の施策も必要になるのかもしれません。

キャリア開発という視点から企業の人材育成を支援

ライフワークスでは、キャリア開発という視点から企業の人材育成を支援しています。キャリア開発研修だけではなく、企業の人材育成の仕組みづくりまで、幅広くお手伝いいたします。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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