アンガーマネジメントとは?意味ややり方、怒りのタイプなどを解説
今、企業では多様な人材を活用し成果に結びつけることが求められています。
多様とは価値観が異なるということ。価値観が異なるとすれ違いが起きやすくなります。
価値観が異なる時の考え方や対応スキルを身に着けることは、多様な価値観を活かし合うにあたり有効な方法のひとつと言えるかもしれません。
そこで押さえておきたい手法として、「アンガーマネジメント」がございます。
本記事では、アンガーマネジメントが現在求められている背景から、メリットや実践方法まで詳しく解説します。
多様性がより求められる、これからのビジネスシーンに役立てていただけますと幸いです。
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは、1970年代にアメリカで生まれたとされる「怒りの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニング」です。
よくある間違いとして、「何をされても怒らない人」が、アンガーマネジメントができている人と思われがちですが、そうではないという点です。アンガーマネジメントとは、怒らない、感情的にならないことを目指すのではなく、相手との違いを受け入れ、人間関係を良くする心理トレーニング、方法とされています。怒る必要性のある場面では上手に怒り、怒る必要のない場面では、怒らなくて済むように上手に対処することを目的としています。
アンガーマネジメントが今必要とされる理由・背景
アンガーマネジメントがなぜ、今必要とされているのでしょうか。その理由は主に3つありそうです。
1) 職場の多様性・社会の変化
現代社会は、かつての常識が見直され、さまざまな多様な価値観を受け入れなくてはならない時代へと突入しています。一方で、人間一人一人がこれまで信じてきた価値観はそう簡単には、変えられません。人は、今まで自分が信じていた価値観が裏切られたときに怒りを感じやすいとされています。多様化が進む職場や社会では、自分が経験から得てきた価値観を他人に覆される出来事が増え、それ故に引き起こされる怒りに対応することも増えました。このような状況下において、誰しも「怒り」という感情をコントロールするスキルが、今まで以上に求められるようになったといえるかもしれません。
2) パワーハラスメントスメント問題
2020年6月1日より「パワハラ防止法」が施行されています。パワハラの基準を法律で定めることによって、具体的な防止措置を企業に義務化するのが主な目的です。2022年4月1日からは、大企業だけでなく、中小企業にも本格的に施行されています。パワーハラスメント問題が引き起こす企業への影響としては、社員のエンゲージメントの低下、離職者増による採用コストの増加、メンタル疾患者の増加などのデメリットが挙げられます。企業が正常な企業運営を継続するためには、社員一人一人が怒りを適切にコントロールし、パワーハラスメントを防止するということが非常に重要な位置づけとなってきているのです。
3) 人的資本の重要性
今まさに、企業は人材を「資本」として捉え、経営戦略と紐づけて、人材価値を最大化する人材戦略を策定することが求められています。そのためには多様性の観点も重要です。自らの価値観とは異なる場合にも感情をコントロールし、本来の自分自身の力を発揮するためのスキルが必要となるでしょう。こうした取り組むべき課題に向けてスキルを身に着けることにより、社員一人一人がより強みを活かせるか否かが、今後の企業の競争力につながっていくのではないでしょうか。
アンガーマネジメントを身に付けるメリット
アンガーマネジメントを身に着けるメリットとは何でしょうか。次の3点を紹介いたします。
1) 自分の感情を素直に受け止められ、コミュニケーションが活性化する
アンガーマネジメントを身に着けると日常生活でも、職場でも、自分とは違う価値観を理解し、寛容になることがメリットの一つとして挙げられます。アンガーマネジメントは、価値観の多様化時代において、一人一人が必須で求められる視点、ビジネススキルになるでしょう。企業において、一人一人がそのような意識を持てば、メンバー間のスムーズで穏やかなコミュニケーションにもつながるでしょう。そこから、チームワークの活性化にもつながるメリットがあります。
2) パワーハラスメントを防止する
上述のように、パワーハラスメントは、社会にとっても、企業にとっても大きな問題です。このパワーハラスメントを防止することができるというメリットがあるでしょう。パワーハラスメントが引き起こす損害は計り知れません。もし、一人一人が怒りを適切にコントロールすることができれば、怒る方、怒られる方の双方ともストレスを軽減させる可能性があります。パワーハラスメントによっておこりうる様々な損失を最小限にするためにも、企業において、アンガーマネジメントの知識・スキルが注目されているのです。
3) 社員の生産性が上がる
アンガーマネジメントは、企業で働く社員一人一人の生産性向上にも寄与するでしょう。例えば、仕事の中で起こる「怒り」の感情を社員が正しくコントロールする術を身に着けることができれば、周囲との人間関係を改善できます。特に、上司が怒りをコントロールできるようになれば、部下が不安を抱くことなく、安心して意見を出せるようになるでしょう。そうすることで、悪い情報もいち早く耳に入れることができるかもしれません。上司と部下の関係だけでなく、同僚同士の関係も良好になるかもしれません。その結果、チームの生産性が向上し、組織の生産性が向上することが大いに期待できるのです。
貴方の怒りのタイプとは
貴方の「怒り」はどのようなタイプでしょうか?一般社団法人日本アンガーマネジメント協会によれば、以下のような6つのタイプに分けられるようです。
(1)公明正大タイプ
(2)博学多才タイプ
(3)威風堂々タイプ
(4)天真爛漫タイプ
(5)外柔内剛タイプ
(6)用心堅固タイプ
参考:https://www.angermanagement.co.jp/?_fsi=K7RpmG9c
自分がどのタイプに該当するのか、無料診断もできるようですので、どのようなタイプに該当するか、確認してみるとよいかもしれません。
今日からできる!怒りのコントロールの3つのコツ
では、実際に、怒りをコントロールするコツとして、どのようなものがあるのでしょうか?以下、効果的なおすすめのコツや技術を3つ挙げて解説してみます。
1.6秒間待ってみる
怒りは「6秒待て」と言われるルールは聞いたことありませんか。この6秒という瞬間の根拠は、衝撃的な怒りが起こる原因であるアドレナリンがピークに達する時間が6秒間だからと言われています。最初は難しいかもしれませんが、自分が怒りに反応して言動を起こす前に「6秒だけ待とう」という意識を持ちましょう。これが、怒りを鎮めることに寄与してくれるかもしれません。
2. 怒りの記録とスコアを点数化してみる
自分自身が怒りを感じたときの詳細な時間と場所、状況などを記録する手法です。例えば10段階などで、その怒り度を記録・点数化しておくことが大事です。これを実践することで、自分自身がどういった場面、状況で怒りが起こりやすいのかの仕組みを、自分で把握することができるのです。例えば、これにより、怒りが起こりそうな状態に出くわすことを冷静に回避することができるでしょう。また、そういった状況に直面するのが避けられなくとも、適切に心構えとして準備しておくことが可能なのです。
3.思い込みから離れてみる
怒りは、自分自身の思い込みや大切にしている信念、信条によるものから起こることがあります。同じ状況でも怒る人いるのに、怒らない人もいるのは、この理由です。自分自身が持っている思い込みや正義感、例えば「~せねばならぬ」「そうでなければならぬ」からいったん離れてみて、冷静に事実を捉えてみましょう。
アメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリスが創始した論理療法におけるカウンセリング理論であるABCDE理論(参考:A:A(Activating Event) ➡B(Belief)➡ C(Consequence)➡ D(Dispute)➡ E(Effective))によれば、人間の不適応な感情・気分・行動は、客観的な出来事から直接引き起こされるのではなく、物事の捉え方や解釈の仕方である認知傾向(信念体系)によって、引き起こされるメカニズムであることが知られています。「B」にあたる信念は人それぞれであることをいったん冷静に客観視してみることも大事でしょう。物事が起こっても、状況によっては、「まあ、そんなこともあるかな」と柔軟で視野を広げた考えや意識を適度に持つことも、怒りを減少させるポイントでしょう。
まとめ
アンガーマネジメントが今必要とされている背景は、多様化する価値観のなかで感情コントロールが求められているという点にあります。、更に、パワハラを防止、チームの生産性向上にも効果があります。一人一人が「怒り」という感情を適切にマネジメントすることは、一個人としての生き方だけでなく、組織をも変えていく可能性を秘めているかもしれません。
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この記事の編集担当
黄瀬 真理
大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。
国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定
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