キャリアとは?意味や社員がキャリアを積むために企業がすべきこと

ビジネスシーンでは、幅広い場面でキャリアという言葉が使われています。社員の将来を見据えた「キャリアプラン」や「キャリアデザイン」などの用語もその一例です。ところで、そもそも「キャリア」自体にはどのような意味合いがあり、なぜこれほど重視されているのでしょうか。

本記事では、よく知られたキャリアの定義を改めて確認するとともに、社員のキャリア開発の重要性や、企業が取り組むべきことについて解説していきます。

2022.08.01
コラム

キャリアの定義

まずは、「キャリア」の定義を見直すとともに、キャリア開発の意味についても解説します。改めてキャリアの概念への理解を深めましょう。

キャリアとは

本来の「キャリア」とは、就職・出世・現在の仕事といった人生の特定の時点や、仕事の結果などを指す言葉ではありません。キャリアは「働くことに関わる継続的な過程」や、それらのプロセスを含む「生き方そのもの」を指す言葉です。このように、キャリアという用語は状況に応じて多様な意味で用いられることがあります。ビジネスシーンにおいては、経歴や経験、専門的な知識・技能などを指すケースが多いものの、広い意味でのキャリアについても理解しておくと良いでしょう。

キャリア開発とは

キャリア開発とは、社員育成やキャリア自律の促進をはじめとした施策を、企業が中長期的な視点で行うことを指します。その際は、自社の経営理念や人事戦略などに基づき、業務や職務で必要とされる能力を開発することが大切です。こうしたキャリア開発には、社員側と企業側それぞれにメリットがあります。

社員側のメリットとして挙げられるのは、自身のキャリアビジョンへ向けて活躍の場を広げられる点です。キャリア開発の施策によって、社員は職場で自身の能力を存分に発揮できるようになります。これにより、仕事でやりがいを感じられるのに加えて、キャリアに関する将来の見通しを持ちやすくなることで、悩みや不安を解消しやすくなるでしょう。

企業側のメリットとして挙げられるのは、社員の生産性向上を実現できる点です。個人の能力開発を推進すれば、結果として組織の競争力も高められます。また、自社の評価向上につながる点も大きなメリットです。キャリア開発支援への積極的な取り組みは、対外的なアピールの場においても、企業イメージに好ましい影響をもたらします。

なぜ社員のキャリア開発が重要なのか

企業が社員のキャリア開発へ積極的に取り組むことには意義があります。ここでは、社員のキャリア開発の重要性について、複数の観点から解説します。

変化が激しい時代だから

近年の社会情勢には、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性といった特徴があり、「VUCA」と呼ばれる先が見通せない時代だといわれています。そんな中で、企業の市場価値を構成する要素も、有形から無形に変わりつつあります。こうした環境に適応し、組織が価値を発揮し続けるには、企業における人材育成が重要です。自ら考えて行動できるキャリア自律を実現した人材を育成することで、人材の可能性を最大化しながら、自社にとって優秀な人材を惹きつけ続ける組織を目指す必要があります。

生産性の向上や組織の活性化をもたらすから

個人が自らキャリアを考え、行動することは、企業側にも多くのメリットをもたらします。自身の目標や目指す姿へ向けて、高いモチベーションで働ける社員が増えるためです。社員が自主的にキャリアを考えるようになれば、より主体的に業務に取り組む効果が期待できるでしょう。一人ひとりの社員のパフォーマンスが高まれば、組織の生産性も向上すると期待できます。

優秀な人材の獲得につながるから

転職希望者や就職活動中の学生にとって、従業員のキャリア開発に力を入れている企業は魅力的に映りやすいといえます。仕事を通して自身の経験の幅を拡げられることは、働く人にとって大きなメリットになります。一方で、企業にとってはそのように自律的なキャリア構築を目指す人材を集めやすくなるメリットがあります。

社員のキャリア開発において企業がすべきこと

最後に、社員のキャリア開発で企業にできる施策をご紹介します。企業側でできるキャリア開発支援の検討にご活用ください。

キャリアについて考える機会を提供する

全ての社員が「自身のキャリアを考える必要がある」と認識しているとは限りません。そのため、まずは社員が自身のキャリアをどのように考えたらよいかを考える機会を設けるのも一つの方法です。たとえば、専門家によるセミナーやキャリア研修を従業員が受講する機会を提供することで、社員が自律的なキャリア開発の重要性に気づくことができます。他者からのフィードバックを得ながら自らを見つめる経験を通して、キャリアを考える必要性を体感できるでしょう。

キャリアの課題は、年齢や役割によって異なる傾向があります。そのため、自社の従業員のキャリア課題は何かを正しく捉え、その解決に最適な内容の研修を検討するとよいでしょう。

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研修などでインプットした後に、上司と部下でキャリアについて話し合う機会を設けるとなお効果的です。キャリア面談を実施すると、上司はキャリアに対する部下の考え方を把握しやすくなり、現場でのサポートがスムーズになります。

キャリアに関する専門家への相談窓口を開設する

社員が自身のキャリアについて相談できる環境を整備するために、キャリアコンサルタントなどの専門家が在籍する窓口を開設する方法です。窓口には専任の相談員を配置し、プライバシーに配慮しながらコンサルティングを行います。相談窓口で支援を提供すると、キャリアに関する悩みや不安が解消され、安心してキャリア開発へ取り組むことにつながります。自社でキャリアコンサルタントを確保する方法と、外部の支援を活用する方法があります。

社員自身でキャリアを築くための制度を設ける

社員が自らキャリアを築く選択肢を増やすために、企業側で制度を整備しましょう。キャリア開発に適した制度の代表例として「社内FA(フリーエージェント)制度」や「社内公募制度」などが挙げられます。社内FA制度では、社員が希望する部署へ自身の売り込みを行い、能力や技術に応じて自在に異動・転籍できる制度です。一方の社内公募制度は、各部署が社内で人材募集を行い、魅力ある部署への異動・転籍を促す仕組みとなっています。いずれの制度も企業内でのキャリアチェンジの可能性が広がり、優秀な社員のモチベーションやパフォーマンスを高めることにつなげられるのがメリットです。

社員のキャリア開発を支援して変化に対応できる組織づくりを

社会情勢の変化や働き手の多様化などを背景に重要性が高まる、社員の「キャリア開発」について解説しました。社内にキャリア自律した社員を増やすことは、組織が環境の変化に適応したり、優秀な働き手を確保したりするうえでも必要な条件だと考えられています。そのためにも、企業側が積極的に社員のキャリア開発を支援しましょう。また、研修や上司のフォロー、外部の専門家への相談、現在の人事制度などを繋ぎ合わせて、全体として効果的に実施することが重要です。

社員のキャリア開発を促すにあたり、社内で仕組みや体制の構築を目指す際には、ぜひ私たちにご相談くださいませ。幅広い業界での、多様なキャリア課題解決を通して得た豊富なノウハウを生かし、従業員のキャリア自律が実現できる仕組みづくりをコンサルタントが支援いたします。

社員のキャリア開発支援について、本記事の内容お伝えした情報をヒントにしていただけたら幸いです。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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