キャリアカウンセリングとは?実は研修後に有効?意義や効果も解説
キャリアカウンセリングとは、何でしょうか?昨今、「キャリア相談」という言葉もよく聞くようになりました。キャリアカウンセリングとは、一般的に「相談者との対話を通して、個人にとって望ましいキャリアの選択・開発を支援すること」と言えるでしょう。
キャリアカウンセリングをキャリア支援の仕組みの一つとして導入している企業は、まだ多くはない状況ですが、キャリアカウンセリングは最近注目されている人事施策の一つとも言えるのではないでしょうか。キャリアカウンセリングは、「再就職の支援」と捉えられがちですが、それだけでなく、相談者の心のバランスを維持する支援や、社員の組織内行動における促進支援においても有効であると言われています。相談者が自分の適性や、強み、持ち味に気づき、その後のキャリアを有意義なものにしていくための手段の一つです。
個別のキャリアカウンセリングを、キャリア研修の後に活用する企業も増えています。キャリアカウンセリングとは何か?また、その効果的な運用の検討にあたってヒントとしていただけましたら幸いです。
1.キャリアカウンセリングとは?
まず、キャリアは「働くことに関わる継続的な過程」や、それらのプロセスを含む「生き方そのもの」を指す言葉です。キャリアという用語は状況に応じてさまざまな意味で用いられることがあります。ビジネスシーンにおいては、経歴や経験、専門的な知識・技能などを指すケースもありますが、広義のキャリアについても理解しておくと良いでしょう。
キャリアカウンセリングとは、「相談者との対話を通して、個人にとって望ましいキャリアの選択・開発を支援すること」という意味になります。 望ましいキャリアとは、就職・転職にとどまらず、職場での人間関係、将来のキャリア設計の悩み、子育て・介護・治療と仕事の両立など、人生全般における生き方・働き方そのものを意味します。キャリアカウンセリングは有料である場合もありますが、公的機関などでは無料で実施しているところもあります。
2.キャリアカウンセリングが必要とされる背景
キャリアカウンセリングが必要とされている背景は何でしょうか?その理由として以下が挙げられるでしょう。
1) 終身雇用時代からキャリア自律時代への変化
情報技術の発達とともに世界で産業構造が変化しています。また、それはリモートワークの普及といった働き方の多様化にも繋がっています。求められるものの変化への対応、多様な働き方を機会として活用していくことが求められています。
さらに終身雇用制度が実質的に崩壊したと言われる今、「生涯同じ会社で働き、定年退職後はセカンドライフ」というスタイルは当たり前ではなくなりました。一人ひとりが自身の人生に責任を持ち、短期的な未来も、100年時代の人生設計も考える必要があります。
こうした非常に大きな環境変化のなかで、自己理解や環境理解をしながら将来に向けて考える際に、キャリアカウンセラーなどの専門家との対話を活用することが有効な手段になってきています。
2) VUCAの時代におけるストレス対応
社会変化が激しく、働き方も変わっており、先の見通しが持ちにくい時代です。働くうえでのストレスも多様化している側面があります。
厚生労働省の調査(2021年労働安全衛生調査(実態調査)結果)によると、1カ月以上休業した労働者がいる事業所割合は8.8%であり、労働者の半数以上が「仕事や職業生活に強いストレスがある」と回答しており、依然として、個人が働く上でのストレスは高いことが伺えます。
【参考引用】:独立行政法人労働政策研究・研修機構
相談できる人がいると回答したのは92.1%と9割を超えるなか、相談相手(複数回答)は「家族・友人」が80.1%がトップ。次いで、「上司・同僚」が75.2%という結果が記載されています。
ストレスの対処には様々な方法がありますが、定期的なキャリアカウンセリングを受けるという事も、有効な手段の一つです。専門家との対話により、視野が拡がったり、やる気を取り戻すことができたりすることで、個人のストレスに対する耐性を得る事にも効果があると言えるでしょう。
3.キャリアカウンセラーとは?
キャリアカウンセラーとは、日本キャリア開発協会(JCDA)によると、「相談者との対話を通して、個人にとって望ましいキャリアの選択・開発を支援するキャリア形成の専門家」とされています。
【参考引用】:日本キャリア開発協会(JCDA)
このキャリアカウンセリングの専門家のうち「国家資格キャリアコンサルタント」は、厚生労働省によるとキャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。
更に、キャリアに関する相談の効果としては、以下が挙げられています。
- 自らのキャリアについて相談した労働者の約9割が、相談(キャリアコンサルティング)が役に立ったとしている。
- 役立った内容としては、「仕事に対する意識が高まった」とする人の割合が多いほか、正社員では「自分の目指すべきキャリアが明確になった」、「自己啓発を行うきっかけになった」といった内容が、正社員以外では「現在の会社で働き続ける意欲が湧いた」等があげられている。
【参考引用】:厚生労働省
4. 人事施策としての、キャリアカウンセリングの意義と活用
1) 研修の後にキャリアカウンセリングを行う場合
ここで、人事施策としてのキャリアカウンセリングの意義いついて考えてみましょう。
研修後のキャリアカウンセリングは、「社員の一歩先の行動につなげるために効果的である」と言えるでしょう。 座学研修の場合、 従業員はまだ「自分ごと」として、研修内容を受け止めきれていない場合があるかもしれません。研修効果をより高めるためにも、「キャリアカウンセリング」で専門家と1対1で振り返りながら自分に向き合う時間が有効と言えるでしょう。
さらに研修実施後1回だけでなく、例えば1か月後、3か月後、半年後など継続的に機会を作ることで、行動の継続を促進することが重要でしょう。対応するキャリアカウンセラーは可能であれば、キャリアコンサルタントなどの有資格者が対応することが望ましいでしょう。
2) キャリアカウンセリングの更なる活用
キャリアカウンセリングを更に活用する場合、以下のような可能性もあります。
個人支援だけにとどまらず、従業員が直面する問題の傾向を、各カウンセリングの内容から押さえる事で、組織課題の抽出と施策立案にも活かせます。
キャリア研修とキャリアカウンセリングの施策を繋ぎ個人を支援するだけではなく、自社の人材育成ビジョンに紐づいた体系的な支援としての仕組み作りにも繋げることが可能になるのです。
5.まとめ
キャリアカウンセリングとは、「相談者との対話を通して、個人にとって望ましいキャリアの選択・開発を支援すること」です。企業研修と研修後のキャリアカウンセリングをセットで行うことで 従業員一人ひとりが自らに向き合い、自身の職業人生においての一歩を主体的に踏み出す支援に繋げることが期待できるでしょう。この機会に「キャリアカウンセリング」の活用を積極的に検討してみてもいいかもしれません。
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この記事の編集担当
黄瀬 真理
大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。
国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定
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