キャリアプランシートとは?作成する理由や具体的な作り方

組織貢献度の高い人材を育てるにあたり、社員一人ひとりがキャリアプランの設計を通して、将来の目標やありたい姿を明確化することが重要になります。そこでおすすめするのが「キャリアプランシート」の作成です。
今回は、キャリアプランシートの概要や作成によって期待できる効果を解説します。具体的な作成手順もお伝えしますので、社員のキャリア形成をサポートする人事担当者様は、ぜひ参考にしてください。

2023.03.01
コラム

1.キャリアプランシートとは?

キャリアプランシートは、働く人の将来の方向性を計画する際に使用されるツールです。こちらでは、キャリアプランシートの基本的な知識やジョブ・カードについて解説します。

1)キャリアプランニングに活用するツール

キャリアプランシートは、自分が考えるキャリアの計画を書き出すものです。将来自分がどうありたいかを考え、それを実現するための行動計画です。キャリア形成や就職活動などに活用されます。

キャリアプランシートには、1年後や10年後などの自分のありたい姿を書き出し、その達成に必要な行動を具体的に記載するのが一般的です。

2)厚生労働省が作成しているジョブ・カードの1つ

キャリアプランシートは、厚生労働省が作成を推進しているジョブ・カードの1つです。ジョブ・カードとは、自分の経歴やスキルを整理し、キャリアプランニングや能力開発を行うための書類を指します。

履歴書をより詳細にした様式で、職務経歴や免許、資格、職業訓練、キャリアプランなどを記入する項目があります。就業経験や職業能力の証明に利用できるため、学生から求職者、在職者まで多様な人材が活用しているツールです。

【出典】ジョブ・カードとは(厚生労働省)

2.キャリアプランシートを作成する理由

企業内においてキャリアプランシートを活用すると、企業と従業員の双方にメリットがあります。続いては、キャリアプランシートを作成する理由やメリットをご紹介します。

1)仕事のモチベーションに良い影響を与える

キャリアプランの作成を通してありたい姿までの計画を立てることで、自分自身の目標が明確になります。目標達成に向けて取るべき行動がはっきりするため、モチベーションの向上につながるでしょう。社員のモチベーションがアップすると、生産性の向上や業務効率の改善が期待でき、企業にもメリットがあります。

2)キャリアプランが共有しやすくなる

キャリアプランシートの作成を推進することで、企業は社員のキャリアプランを把握しやすくなります。作成したキャリアプランシートは、1on1ミーティングや面談の場で利用したり、キャリアパス制度を設計する際の資料として参考にしたりなど、キャリア支援に役立てられます。企業が社員のキャリアを積極的にサポートする姿勢を見せることで、エンゲージメントの向上や組織の活性化、優秀な人材の定着なども期待できるでしょう。

キャリアプランを共有する際は、キャリアに関する対話を通じて会社・組織の方針と社員のキャリアビジョンをすり合わせることが大切です。これにより、企業は社員の適性や未来に向けての考えを考慮して仕事を割り振りやすくなり、社員は自ら描く未来の実現に向けた能力開発に励みやすくなります。

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→ヤフー株式会社 主体的な成長・キャリア開発と各種人事施策をかけあわせ、組織価値の最大化を目指す

3.キャリアプランシートの作り方

キャリアプランシートの作成方法に明確な正解はありません。キャリアプランシートを導入している企業や組織ごとに様式が異なるため、自社に適した形で作成することが重要です。こちらでは、上司が部下にキャリアプランシートの作成を指導する際の一般的な考え方を5つのステップに分けてご紹介します。

1)Step1.自分の過去を振り返る

まずは、これまでの職務を通して得た経験や、そこで培った強みなどを中心に過去を振り返り、自己分析を行いましょう。その業務に従事するなかで自分がどのような点にやりがいを感じたか、それはなぜかについても書き出しておくのがおすすめです。自分が大事にしている価値観や強み・持ち味、興味・関心の確認にもつながります。

仕事のやりがいの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→仕事のやりがいとは?従業員が感じる瞬間と自分で見つける方法

2)Step2.自分の現在の状況を把握する

過去の振り返りができたら、次は現状の把握を行います。たとえば「組織から求められている役割はなにか」「そこに向けてどんな強みを発揮しているか」「苦手なこと、現時点で不足している力はあるか」など、できる限り具体的に記載するのがポイントです。言語化が難しい場合は、上司や同僚にフィードバックをもらったり、自己診断ツールを参考にしたりするのも良いでしょう。

ステップ1と2を通して自己分析を徹底的に行うことで、将来自分が目指したいことことや、今やらなければならないことが見えやすくなります。

3)Step3.将来のありたい姿や目標を考える

次のステップでは、自分の将来のありたい姿や目標を考えます。1年後や5年後、10年後などの時間軸を設定して、今後どのようにありたいのか、何をしたいのか、希望の働き方などを具体的に書き出しましょう。まずは広く書き出した上で、実現可能性も考慮して絞り込むことも大切です。キャリアプランシートは、自分の目標を明確化したうえで具体的なアクションプランに落とし込むことを目的としています。理想ばかりを掲げてしまうと行動計画を作成できず、思ったような効果が得られません。

また、人生は仕事とプライベートの両方から成り立っています。そのため、将来をイメージする際は、仕事と合わせてプライベートでどのようにありたいかも書き出すと良いでしょう。

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→日本水産株式会社 「自立と自律」を人事ポリシーに、社員の状況を定量で把握しながらキャリア自律支援に注力

4)Step4.将来のありたい姿や目標の達成に必要なことを考える

続いては、ステップ3で掲げたありたい姿や目標を達成するために必要なことを検討します。将来のありたい姿と現在の状況を比較して足りない部分を見極め、必要な経験や習得するべきスキルなどを洗い出しましょう。短期間で習得可能なものと、長いスパンでの経験の蓄積が必要なものに分けて考えるのがおすすめです。

5)Step5.現在から将来への道筋を計画する

最後のステップでは、現在の状況から将来のありたい姿にたどり着くための道筋を計画し、具体的なアクションプランを策定します。身に付けるべきスキルがある場合はいつまでに習得するのか、強みを伸ばすのか、または弱みを克服する必要があるのかなどを明確にします。例えば、海外支社で為したいことがある場合には、「1年以内にビジネス英語を習得する」「海外のビジネストレンドを掴む」などのテーマも、課題として挙がってくるかもしれません。いつまでにどんな状態を達成するのか、そのためにどんな取り組みが必要かなどを、具体的に描くことが重要です。

キャリアプランシートやアクションプランを作成した後は、定期的に見直しを行い、目標が達成できているか確認することが大切です。過去に自分が掲げた目標を一つずつクリアしていくことが、次の目標に向けたモチベーションにつながります。

また、労働環境やライフステージの変化によって、自分が理想とするありたい姿は変化していくこともあります。そのような場合は、最初の計画に固執するのではなく、都度考えることを癖づけましょう。

4.キャリアプランシートの作成を通して社員のありたい姿をサポート

今回は、キャリアプランシートの概要や作成によって期待できる効果、具体的な書き方についてお伝えしました。キャリアプランシートは、社員のありたい姿を言語化し、実現に向けて必要なアクションを明確化するために有用なツールです。キャリア支援の一環として取り入れることで、組織が進む未来に向けて一人ひとりの力を最大限に活かす組織づくりに繋げることができるでしょう。

社員が持つキャリアプランを言語化し、把握することは、企業にとってもメリットがあります。キャリアプランシートを使って、キャリア面談を実施することをおすすめします。対話のなかで相互理解が進み、個人にとっても組織にとっても、未来に繋がる新たな発見があるでしょう。

キャリア面談を実施する際のポイントをまとめた資料をご用意していますので、以下のページからぜひダウンロードしてみてください。

資料DL:キャリア面談と評価面談の違い

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この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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