キャリア形成とは?社員の成長に必要なことや実現するための方法

「キャリア形成」とは、キャリアを築くための長期的な計画や、未来のキャリアに必要なスキル、自身の強みを考えながら身に着けていくことを指します。それにあたっては、働く本人が自己実現を目指して、主体的に取り組む必要があります。職務経験を積み重ね、自らスキルを身につけることで、思い描くキャリアビジョンにも近づくでしょう。近年は、企業側が社員のキャリア形成を支援する取り組みも始まっています。

本記事では、キャリア形成を意識すること、支援することが求められる理由や、キャリア形成のポイント、進める方法まで解説します。人事部門のご担当者様や、部下の育成に携わる管理職の方は、ぜひお読みください。

2023.03.15
コラム

1.社員のキャリア形成が求められる理由

なぜ社員による主体的なキャリア形成が重要視されているのでしょうか。まずは、現代のビジネスシーンにおける背景をご紹介しながら、社員のキャリア形成が求められる理由を解説します。

1)価値観の多様化

社会において働くことに対する捉え方が変化しつつあります。過去には、働く男性という属性の似た人が多く、キャリア形成のあり方も似ている時代もありましたが、こうした傾向は薄まりつつあるといえます。現在は、個人の働き方・生き方について多様な価値観が認められつつあり、一人ひとりの人生に合わせたキャリアデザインをしやすくなってきています。終身雇用が崩れつつある今や今後においては、個人が自らキャリアを形成して自分の可能性を切り開いていく必要がある時代だといえるでしょう。

2)雇用形態の変化

正社員以外の雇用形態や、テレワークや時短勤務をはじめとした多様な働き方を取り入れる組織が増えています。これにより働き手の選択肢は増えた側面があるでしょう。さらに、これまでは国内で多く見られた終身雇用制度や年功序列を採用している企業は減少傾向にあります。
このような雇用形態における変化があるなか、多様な選択肢を持ち続け、自分らしく納得できるキャリアを歩むためにも、個々人が主体的にキャリア形成をすることが求められているのです。

3)AIを活用する仕事の台頭

技術の進歩によって単純な作業がAIにより自動化されつつあり、既存の多くの職種が将来的に不要になるとも言われています。その反面、ポジティブな影響として挙げられるのは、AIの活用によりこれまでにはなかった仕事や働き方が登場していくことです。今後もAIが人間の働き方や仕事内容に与える影響は大きいと考えられています。このように激しく変化する時代を生き抜くには、変化に適応して柔軟にキャリアを形成する力や、主体的に価値を生み出す力が求められます。

2.キャリア形成のポイント

自社の社員のキャリア形成を支援する際のポイントをお伝えします。人材育成に携わるご担当者様は、社員の相談に乗る上でも以下の観点を活用いただけますと幸いです。

1)強みや持ち味、適性から考える

社員のキャリア形成のサポートにおいて、一人ひとりが自分自身の強みや持ち味、適性などを内省する必要があります。その際は、「WILL CAN MUST」のフレームワークを活用するのがおすすめです。フレームワークを活用して言語化することで、自己分析のヒントを得やすくなります。

  • WILL:やりたいこと
  • CAN:できること
  • MUST:やるべきこと

「WILL CAN MUST」のフレームワークでは、まず社員自身が思いついたことを項目ごとに書き出してもらいます。さらに、一人で進めるだけではなく、複数の社員でのグループワークで相互に意見出しを行うことも有効です。社員同士がフィードバックをしあうことで、各自の自己理解を深めることができるでしょう。

2)ロールモデルを設定する

価値観が多様化した現代においては、特定のロールモデルだけを目指す考え方は一般的ではなくなりつつあります。しかし、自分の理想に近い人物の「要素を取り入れる」ことで、自身のキャリアをイメージしやすくなるという意味で、要素としてのロールモデルの設定(ロールパーツモデルの設定)も有効だといえます。ロールモデルを具体的に挙げることで、キャリア形成における各自の目標を具体化できる効果があるでしょう。具体的なロールモデルが思いつかない社員には、周囲で活躍している社員を例として示す方法もあります。

3)やりたくないことをリストアップする

自分のやりたいことを質問してもなかなか思いつかない社員には、反対に「やりたくないこと」を考えるアプローチも良いでしょう。やりたくないことには、自分の心が動かないことや、あまり得意ではないこと、弱みなどが含まれます。まずやりたくないことをリストアップした後に、それらの情報の逆を考えてみると、やりたいことや適性を導き出せる可能性があります。

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→ヤフー株式会社 主体的な成長・キャリア開発と各種人事施策をかけあわせ、組織価値の最大化を目指す

3.社員のキャリア形成を上司が支援するためのヒント

最後に、社員のキャリア形成を促進することを上司が支援するヒントをお伝えします。人事部門のご担当者様や、部下育成に携わる管理職の皆様は、ぜひ参考にお読みください。

1)上司が、部下のキャリア支援の重要性を理解する

職場では上司が部下のキャリアのアドバイザーとなり、キャリア形成を支援できると理想的です。そのためにも、上司は「部下のキャリア形成のサポートは自らが果たすべき役割の一つである」と認識する必要があるでしょう。ただし、上司はあくまで部下自身が納得できる選択をするために見守る立場であり、最終的には部下の意思を尊重しながらフォローすることがポイントです。上司自身が求めるキャリアの押し付けとならないよう意識しながら関わりましょう。

2)部下とのキャリア面談の目的の理解と、知識スキルの習得

社員にキャリア面談を実施する前に、キャリア面談を行う目的や、一般的な「評価面談」との違いについて、面談者が十分に理解しておくことが重要です。

キャリア面談は、社員のキャリア形成の支援を目的としています。それに対して、評価面談は業務目標の管理や評価を目的として行われます。キャリア面談では相談者と被相談者が対等な立場であるという点が大きな違いです。互いに対等な立場で対話しながら、相談者の成長や、中長期的な組織への貢献について話し合うのが特徴です。

管理職など、面談を行う担当者は、部下とキャリアの擦り合わせをする際の「WILL・CAN・MUST」のフレームワークの活用の仕方を習得すると良いでしょう。キャリア面談でWILL・CAN・MUSTを共有することにより、上司からの期待や社内での役割を、部下のありたい姿と擦り合わせやすくなります。

キャリア形成における課題は、社員の年代によっても大きく異なります。たとえば、上司世代と新人社員では、就職した時代背景の違いにより、生き方や働き方の価値観にギャップが存在することも少なくありません。こうした違いを認識した上で、キャリア形成を支援する意識も大切です。

上司が部下のキャリア形成を支援することに関して、課題はございませんか。
ライフワークスでは、上司の部下キャリア形成支援についてお悩みのご担当者様のために、お役立ち資料をご提供しています。どうぞご活用ください。

4.社内にキャリア形成を支援する環境を整備しましょう!

社員一人ひとりが自らキャリア形成に取り組み、主体的にャリアを築く時代になりました。「人生100年時代」とも呼ばれ、多くの人が長い期間働き続ける現代になっています。企業においては多様な従業員の力を最大限活かすために、個々人のキャリア形成を支援することも大事な観点となっています。自社の社員のキャリア形成をよりよく支援できるよう、本記事での情報をぜひお役立てください。

株式会社ライフワークスでは、20代からシニアまでの各世代や、女性活躍推進、管理職向けなど、課題に合わせた「キャリア開発研修」をご提供しています。キャリア開発研修は、企業で働く社員(従業員)一人ひとりの、自律的キャリア形成を支援する方法の一つです。社員のキャリア課題を持つ方は、是非ライフワークスのキャリア開発研修をご覧ください。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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