従業員のモチベーションを維持するには?維持のためのポイントを解説

高いモチベーションを持った従業員であっても、日々の業務のなかで、だんだんとモチベーションが下がっていってしまうことがあります。従業員のモチベーションを維持するためには、会社側が適切なフォローを行うことが必要です。

今回は、従業員のモチベーション低下によって引き起こされる問題や、モチベーション維持のためのポイントについて解説します。

2023.07.11
コラム

1.モチベーションとは?

モチベーションとは、一般的に、目標のために行動する際のやる気や意欲を示す言葉です。また、目標のために行動を起こす動機をモチベーションと呼ぶこともあります。
モチベーションは、内発的動機づけと、外発的動機づけの2種類に大別できます。

1)内発的動機づけ

内発的動機づけとは、行動を起こす本人の内面から発生する動機です。
「楽しい」「好奇心を抱いている」「知りたい」「充実感がある」「達成感を得られる」といった動機は、すべて内発的動機づけに該当します。
仕事における内発的動機づけには、下記のようなものが挙げられます。

<仕事における内発的動機づけの一例>

  • 目標達成による達成感
  • やりたかった業務を行う充足感
  • 新しい業務への興味、好奇心

内発的動機づけの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→社員の内発的モチベーションの向上は必須!向上させる方法を世代別に紹介

2)外発的動機づけ

外発的動機づけは、外部からもたらされる動機です。
「賞賛」「評価」といったプラス要素のほか、「懲罰を避ける」といったマイナス要素も外発的動機づけに該当します。
仕事における外発的動機づけには、下記のようなものがあります。

<仕事における外発的動機づけの一例>

  • 目標を達成してインセンティブをもらう
  • 昇進や昇格
  • チームメイトからの賞賛 など

モチベーションマネジメントについては、下記の記事をご覧ください。

2.従業員のモチベーション維持が必要なのはなぜ?

従業員のモチベーション維持は、従業員本人のためだけでなく、会社にとっても重要です。
ここでは、会社が従業員のモチベーション維持を図るべき3つの理由をご紹介します。

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1)仕事の質を維持できる

従業員のモチベーションを維持することによって、仕事の質も維持することができます。

モチベーションが低下すると、仕事の質が低下する可能性があります。
能力は変わらなくても、やる気がない状態とやる気に満ちた状態では、業務に対する集中力や注意力が変わるはずです。

モチベーションの低下によって、仕方なく仕事をするようになると、その分ミスが増えたり、同じ仕事により多くの時間がかかってしまったりすることがあります。
業務について積極的に改善案を出したり、アイディアが生まれたりすることも減ってしまうでしょう。

2)チームがまとまりやすい

従業員のモチベーションが一定に維持されていると、安定した関係性を作りやすくなるでしょう。
関係性の良いチームからは、良いアイディアが出やすくなったり、業務上の連携が取りやすくなったりします。チームとしての業績アップにもつながるはずです。

反対に、チームの半数にやる気がなく、半数は一定のモチベーションを維持していた場合、双方のモチベーションが異なることによる関係性の悪化が起こる可能性があります。仕事に対するモチベーションの低下により、積極的なチームメンバーへの声掛けや挨拶などがなくなり、職場の雰囲気が悪くなるおそれもあります。

3)人材が流出しにくくなる

組織として、モチベーションの維持向上ができている状態だと、人材が流出しにくくなります。
さらに、不満があってもポジティブな解決策を見つけようとする会社風土になっていくでしょう。

例えば「自分の仕事の成果がなかなか出ない」というとき、業務に対するモチベーションが維持できていれば、成果が出ない原因の追究や、問題の解消のためにどうすればよいかを前向きに検討しようという気持ちになるはずです。反対に、業務に対するモチベーションが低い従業員が出てきてしまうかもしれません。

3.従業員のモチベーションを下げる要因

従業員のモチベーションは、さまざまな要因で低下していきます。
ここでは、従業員のモチベーションを下げる4つの要因について、説明します。

1)仕事量が多く、労働時間が長い

仕事量が多く、労働時間が長いと、従業員のモチベーションが下がりやすいでしょう。
従業員が疲弊した状態が続いてしまうと、どんどんモチベーションが低下していきます。体が休まらなければ、精神の疲れもとれません。特に、問題が常態化している場合、終わりが見えずにやる気を失っていくことになります。

そのため、もし従業員がこのような状況に陥っている場合は、長時間労働、休日出勤、休暇が取得できないといった労働時間に関する問題の解消を目指すことが大切です。同時に、業務時間中の仕事量のバランスについても検討が必要です。仕事量の分配を定期的に確認し、各従業員に適切な仕事量が割り振られるように配慮します。

2)正当な評価が得られないと感じる

自分の働きが正当な評価を受けていないと感じると「がんばっても無駄」という意識が生まれ、従業員のモチベーションの低下につながります。仕事の成果が評価されていなかったり、逆に自分よりも成果を上げていないと感じられる従業員が評価されていたりすると、不満の原因になるでしょう。

こうした事態は、評価基準が曖昧なことによって起こります。評価者の心証にかかわらず、公平な評価が行われる制度づくりが求められます。

3)仕事に意義を見いだせない

仕事に自分なりの意義を見いだせないと、従業員はモチベーションの維持が難しくなります。自分の仕事の意義がわからず「何のためにこの仕事をしているのだろう」と悩むようになると、仕事を通じての充足感や幸福感を得られなくなってしまうでしょう。
反対に、取り組む意義がある仕事に従事している自覚がある従業員は、やりがいを感じやすくなります。

仕事のやりがいの詳細については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
→仕事のやりがいとは?従業員が感じる瞬間と自分で見つける方法

4)成長の実感が持てない

従業員自身が成長を実感できないと、モチベーションは低下しやすくなります。
特に、従業員自身が成長したいと思っているにもかかわらず、そうした展望が描きにくいと感じた場合、モチベーションの低下を招きやすくなるでしょう。

実際には成長していたとしても、従業員に実感が持てない場合はやる気の喪失につながります。

4.従業員のモチベーションを維持するために押さえておくべきポイント

従業員のモチベーションを維持するためには、会社が適切なフォローを行う必要があります。
ここでは、押さえておくべきポイントを5つにまとめました。

1)会社方針を周知する

会社の経営方針やビジョンを積極的に発信することが重要です。
会社が何を目指しているのかが明確になることで、自分自身のビジョンとの共通項も探しやすくなります。結果、会社と従業員が同じ目標に向かって進めるようになれば、業務に対するモチベーションの向上にもつながる可能性があるでしょう。

2)従業員のキャリアデザインを大切にする

モチベーション維持のためには、従業員のキャリアデザインを大切にしましょう。
従業員が望むキャリアを実現するためにどうすればよいのか、キャリアデザインを明確に設計する機会を作ることが重要です。
従業員が目指す将来像への道筋をはっきりさせることで、主体的に業務に取り組みやすくなります。

ただし、そのためには「現在の業務が、自分の目指す将来像につながっていく」と実感してもらわなければいけません。
キャリアデザインをもとに組織とすり合わせていく必要があります。

3)定期的に面談を行う

管理職は部下と定期的に面談を行い、キャリアのサポートを行うことで、従業員のモチベーション維持に努めましょう。
部下が正しい方向に進んでいるかどうか確認し、目標に対する達成度をもとに次の目標設定を検討する、といったプロセスを繰り返すことで、
従業員は定期的に自身の目標を再確認できます。モチベーションの維持にもつながるはずです。

また、従業員との面談をより効果的に行うためには、面談の目的を認識する必要があります。
キャリア面談と評価面談の違いや、コミュニケーションの取り方に関する資料をご用意しておりますので、合わせて参考にしてください。

4)目標設定のサポートをする

従業員が適切な目標を設定することに向けて、管理職とのすり合わせは重要です。目標は容易すぎると達成感が得られませんが、困難すぎてもやる気の低下を招きます。達成条件が明確で、ある程度現実的なレベルの目標を設定できるようにサポートしてください。また、組織の目標と紐付けた意識を従業員一人ひとりに持たせるよう働きかけることも大切です。

5)職場環境の見直しを行う

職場環境を定期的に見直すことで、従業員のモチベーション維持にもつながります。
ハラスメントや、日常的な長時間労働などが発生している職場は、従業員のやる気を削いでいきます。心身の健康を保ち、モチベーションを維持するために、職場環境に問題がないかどうかを確認しましょう。問題がある場合は、早急な対処が必要です。

5.従業員のモチベーション維持に向けて、モチベーション低下の原因を確認しましょう

従業員のモチベーション維持は、離職率低下や生産性の向上、働きやすい職場づくりなどにもつながります。モチベーションの低下を招く要因を排除するとともに、モチベーションを維持、さらには向上に向けて、適切な働きかけを行いましょう。まずは、従業員のモチベーションを理解し、自社にモチベーション低下の原因となる慣習がないかどうか確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

株式会社ライフワークスでは、従業員のキャリア開発を検討・実施する方に向け、さまざまなソリューションを提供しています。
年代別のキャリア課題と課題解決の方向性に関する各種資料も提供していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

この記事の編集担当

黄瀬 真理

黄瀬 真理

大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。

国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定

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