キャリアビジョン研修とは?研修の効果や目的などを徹底解説!
社員のキャリア形成の一環として、キャリアに関する研修プログラムを導入する企業様が増えております。人的資本経営に注目が集まっていることと相まって、全世代に向けた「キャリアビジョン」をテーマとする研修も注目を集めています。
キャリアビジョンとは、一言で言うと「仕事や仕事に関係するプライベートを含めた将来の理想」を考えることです。将来に向けてキャリアの方向性を定め、それに向かって進むにあたり、キャリアビジョンは重要です。キャリアビジョンがあってこそ、自分らしいキャリア計画やアクションプランが立てられるようになります。キャリアを自ら考えることが求められる今、社員一人一人がキャリアビジョンを策定する重要性が問われています。
この機会に、キャリアビジョン研修とは何か、その目的と効果について考えてみてはいかがでしょうか?
1.キャリアビジョンとは
1)キャリアビジョンとは
まず、キャリアビジョンとは何でしょうか?キャリアビジョンとは、「仕事や仕事に関係する、プライベートを含めた将来の理想」を指します。これまで歩んできた過去・現在とつながる未来がキャリアビジョンと言えるでしょう。
2)キャリアデザインやキャリアプランニングとの違い
キャリアビジョンと混同されがちであるのが、キャリアデザインやキャリアプラニングです。まず、キャリアデザインとは、キャリアビジョンに向けたキャリアプランを主体的に設計することそのものを指します。そして、キャリアプランニングとは、キャリアビジョンを実現するために必要なスキル・経験を洗い出し、具体的な行動目標を立てることです。キャリアプランの最終的な目標地点こそがキャリアビジョンだと言えるでしょう。
2.キャリアビジョン研修とは
では、キャリアビジョンを扱う研修とはどのような内容になるのでしょうか?
多くのケースでは、自分自身のキャリアを分析するツールを用いて自己理解を深め、自分なりの「キャリアビジョン」を言語化します。一例ですが、その過程でワークシートを使用して過去のキャリアの棚卸しを行い、自分自身の強み・弱みを分析する内容を含む場合もあります。例えば、譲れない価値観とされる「キャリアアンカー」をフックに考えることも効果的かもしれません。さらに、研修を受講する仲間からのフィードバックが、自己分析を深めるにあたって重要な要素となるでしょう。
また、自分自身の「キャリアビジョン」を明確にした後に、組織のビジョンとの重なりを探す場合もあります。
3.キャリアビジョン研修が求められている背景
キャリアビジョン研修が求められている理由には、以下のように特徴的な時代的背景も関係がありそうです。
1)人生100年時代において自分のビジョンを持つことの重要性
人生100年時代と言われる今の時代、多くの方は会社生活を終えた後も、何らかの形で職業生活を続けていく必要があります。生涯現役とまではいかなくとも、健康寿命が続く限り、職業的キャリアを続けていく選択を選ぶ人も多くなるでしょう。もしも自身が納得できるキャリアビジョンが無ければ、うまくいかない時にキャリアの迷子になってしまうかもしれません。
2)社会の変化が激しく、選択肢が多いため、ビジョンを軸に判断することが効率的
VUCAの時代とも言われるように、今は予測ができない時代です。そのようななかでも環境や周囲に振り回されず、自分の価値観を大切にしながらキャリアを選択したり、日々の意思決定をしたりする必要があります。そうしたなか、キャリアビジョンが明確であることで、キャリア選択をしやすくなったり、目標をより明確に立てられるようになったりといったメリットを期待できます。
4.キャリアビジョン研修の目的
では、具体的なキャリアビジョン研修の目的とは一体何になるのでしょうか?
1)キャリアを自身で描ける主体的な人材の育成
キャリアビジョンを策定したとしても、永久に不変ということはありえません。自分も環境も変化するからです。例えば、自分自身のスキルや興味、価値観は年齢や経験を経て変化していきますし、上述の通り、VUCAの時代において、環境変化のスピードは日々増しています。そのようななか、自分自身で常にキャリアビジョンをアップデートすることが必要です。キャリアビジョンの描き方が分かれば、状況が変化しても必要に応じて自らで描き直し、対応することができます。
2)仕事に対する意味づけの促進
キャリアビジョンが全くなければ、仕事を「何のために行うのか?」「何を目指すのか?」と考え、自分ごとにするのが難しくなる場合があるかもしれません。自らのありたい姿の像を持つことは、仕事に対する意味づけの促進にもなるでしょう。
3)仕事の意味づけによる定着率の向上
仕事に対する意味付けができていないと、「なぜこの仕事をしているのか?」「どんな意味があるのか?」と「もやもや」が生まれたときに、解決が難しくなってしまうことがあります。しかし、仕事に取り組む意味を明確化し、再認識しておくと、仮にもやもやする時期があっても、向き合って乗り越えることができるでしょう。そして、それは定着率の向上にもつながります。
5.キャリアビジョン研修の効果
それでは、ここからキャリアビジョン研修の効果をまとめていきましょう。
1)自己理解が深まる
まずは、自己理解が深まる効果を期待できます。キャリアビジョンは、自分の強み・興味・価値観を深く理解したうえで、それらを土台とした自分の未来について「将来の理想」を定義するものです。過去・現在・未来に向き合うことで、自己への理解が深まることは間違いありません。
2)キャリアプランニングの具体化ができる
キャリアビジョンを明確化したということは、現時点のキャリアのゴールが明確化されたことになります。そうすると、そのゴールまでどのようなルートで行くのかという「キャリアプラン」の具体化ができるのです。目的地がないキャリアプラニングは、実効性の乏しいものになるでしょう。キャリアビジョンがあってこそ、具体的なキャリアプラニングの検討が進むものです。
3)未来に向けてモチベーションを高めることができる
キャリアビジョンとは、一言でいうと「将来の理想」です。目的地が明確になり、解像度が上がるほど、それに向けてのモチベーションも高まっていきます。未来に向けて、主体的に自らをアップデートしていけるでしょう。
4)「今からできる」アクションプランが作成できる
キャリア開発のためのアクションプランを作成できる効果があります。キャリアビジョンが明確化され、キャリアプランも完成したのであれば、いよいよアクションプランに移れます。その計画を達成するために、「今からできる」アクションプランを設定することができれば、今すぐ行動変容につなげることが可能です。
5)組織全体のパフォーマンス向上につながる
自己を理解し、未来のキャリアビジョンが明確になれば、今やるべきアクションが見えてくるでしょう。今やるべきアクションがわかり、それを実施することで、まずは個人としての成果向上が期待されます。そうした個人が増えると組織全体のパフォーマンス向上につながるため、個人にとどまらず、組織にとってのメリットも大きいと言えるでしょう。
6.キャリアビジョンを描くポイント
キャリアビジョンを描くポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。
1)自分の成功体験・失敗体験を書き出す
まず、自分の成功体験・失敗体験を書き出すことが有効です。キャリアの棚卸しのなかで、 仕事で成功したこと、失敗したことなどを列挙して書き出し、そのなかから自分の強み・弱みや特徴などを洗い出してみましょう。
2)憧れの上司や先輩社員を参考にする
次に憧れの上司や先輩社員を参考にしてみてください。直接インタビューすることもおすすめです。憧れの上司や先輩の行動や考え方に触れることで、自分自身に今足りないことに気付けたり、未来に向けた検討を進めたりするヒントを得られるでしょう。
7.キャリアビジョン研修実施における難しさ
1)自己分析の難しさ
自己分析と一言で言っても簡単ではなく、ワークシートなどを活用し、一定の時間をかけて行う必要があるでしょう。自分で自分自身を多面的に知るのは難しいため、ワークショップでフィードバックを得るなどして、他の誰かの力を借りるのも大切です。
2)組織や上司のサポートが必要
キャリアビジョン研修での気づきを生かし、受講者が日常の職場で目標に向けて行動し続けるためには、上司の理解も必要になるでしょう。上司がこの研修の意義を理解し、メンバーの行動を応援するスタンスを保つことが、成功のカギとなるでしょう。
3)費用や時間の負担がある
最後に費用や時間の負担がかかるという点です。キャリアビジョン研修を外注するのであれば、その費用やコストを考えなければならないでしょう。また、内製にしたとしても、講師の育成コストや受講者の時間コストを考える必要が出てきます。
8.まとめ
キャリアビジョンとは、「将来の理想」です。それを考える研修こそが、キャリアビジョン研修となります。社員一人一人が自己に向き合い、キャリアビジョンを描いたうえで仕事の意義を感じながら日々の業務に取り組むと、個々の能力の伸長だけではなく、組織全体のパフォーマンスの押し上げ効果を期待できます。この機会に、キャリアビジョン研修の導入を検討してみませんか。
この記事の編集担当
黄瀬 真理
大学卒業後、システム開発に関わった後、人材業界で転職支援、企業向けキャリア開発支援などに幅広く関わる。複業、ワーケーションなど、時間や場所に捉われない働き方を自らも実践中。
国家資格キャリアコンサルタント/ プロティアン・キャリア協会広報アンバサダー / 人的資本経営リーダー認証者/ management3.0受講認定
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