役割創造コンセプトプログラムとは(1/全3回)〜講師が語る「キャリアコンセプト開発研修とは」〜
当社が提唱する「役割創造」のコンセプトに基づいて構成したこのプログラムの特徴について、主に関わっていただいている方々にそれぞれの専門領域の目線から語っていただきました。今回は、このプログラムの研修の部分を担っていただいているお二人のトレーナーに話をうかがいました。
キャリアコンセプト開発研修の特徴をどのようにとらえていらっしゃいますか?
遠藤:1つは、内発的動機づけがすごく高まる点ですね。どのキャリア研修でも、キャリアの棚卸しをして自己理解を深め、これからの自分のあり方を考えることは行いますが、このキャリアコンセプト開発研修では、キャリアの棚卸しだけでなく、自身の原体験までさかのぼって本質的な価値観や動機を理解した上で、自らのキャリア資産を「見える化」させます。自分の内側から出てくる「こういうことをしてみたい」という思いをもとに後半の人生を考える側面が強いのがこの研修の特徴であり、良さだと感じています。
宮本:そもそもキャリアコンセプトとは、仕事や人生における拠りどころ、つまり自分の核、あるいは軸となるものですからね。まずはその人の本質を掘り起こすことがこの研修の基本です。
加えて、この研修が他のキャリア研修と異なる点は、「自分が実現したいことについての具体的なテーマと実行計画が"腹落ちする"」ということです。2 日間かけて価値観や動機、基礎力や行動特性、知識、スキル、技術、資格などで構成される「キャリア資産」をとことん掘り起こし、それらを統合してキャリアコンセプトを言語化する。その上で、そのキャリアコンセプトに基づいたキャリア実現計画を具体的に立てていただくという内容ですから、納得感があると思いますよ。
研修を通して得られる納得感について、一般のキャリア研修との違いという点からもう少し詳しく教えていただけますか?
宮本:従来のキャリア研修は、「Will」「Can」「Must」のうちの「Must」の部分、つまり役割・期待を明らかするにすることが中心です。もちろん、「Will」や「Can」を掘り起こすこともやりますが、「Will」では「何を大切にしているか」、「Can」では「どんなことができるか」を整理する感じでしょうか。今のキャリアをどのように未来につなげるかということについて、時間の制約もあり、とことん考えることができません。極端に言えば、過去の自分を分析して、「では、キャリアプランを作りましょう」と少し飛躍するようなイメージです。
一方、キャリアコンセプト開発研修では、「Will」を原体験まで遡って掘り起こしていきます。「Can」については自己理解検査や「自分が変化した体験」などから強みや持ち味を洗い出します。そのような過程を経て自分の「キャリア資産」を徹底的に分析したあとに、「役割創造の視点をもつ」というセッションで、今後の自分の提供価値を考える時間をしっかりととります。そうすることで、「将来に向けて、明日からどう行動を変えればいいのか」ということが腹落ちし、行動変容できるというわけです。
遠藤:「役割創造の視点をもつ」のセッションの中では、事例を見ながら私たち講師が受講者の方々に役割の広げ方の方向性をお知らせします。具体的には、「社内の今の仕事で深掘りする」「今取り組んでいないことで、社内で挑戦したいことを考える」「今取り組んでいることを社外に展開する」「社外で新しい領域に挑戦する」の4つです。原体験から「こういうことが好きだった」「やりたかった」と、自らの価値観・動機に気づき、今までの仕事の中では考えもつかなかったような領域に挑戦する計画を立てる方もいらっしゃいますよ。
具体的に、受講者の皆さんにはどのような変化が生まれますか?
遠藤:忘れていた自分を再発見・再確認されますね。原体験から現在までを多様な側面から振り返って価値観・動機を明確化する「自分の原点を探る」というセッションを通して、自分だけでなく、グループのメンバーから客観的な質問や指摘を受けることで「ああ、自分ってこういう人だったんだな」と腹落ちするというか。「とっちらかった人生だと思っていたけど、根っこはここにあったんですね」「一貫性のないキャリアだと思っていたけど、皆からもらった言葉から、1本の軸があったんだと気づいた」などとおっしゃる方もいます。
最後に、このキャリアコンセプト開発研修はどのような方におすすめでしょうか?
宮本:自分のキャリアを他に預けている人ですね。組織とか、他人とか、自分以外の誰かに。この研修が対象としている40代・50代のビジネスパーソンには、人生を自分で決めている実感をもっていらっしゃる方はそう多くないのではないでしょうか。とりわけ大手企業に勤めていらっしゃる方は、状況受容型のキャリアを歩んで来られた方が多いように思います。かつてのように 退職後10年程度で人生を終えられていた時代であればそれでもよかったかもしれません。でも、人生100年時代と言われるこれからの時代は、65歳で定年したとしても延々と人生が続いていきます。だからこそ、「どう生きたいか」を考え、自分の人生は自分で決めることが、非常に大切です。
この研修のねらいは「これからの人生は自分で決める」ようになること。自分ではない誰かにキャリアを預けてしまっている人は、そのキャリアを自分に取り戻すために、ぜひ受講していただきたいですね。
遠藤:受講者の方を中心に40代・50代のビジネスパーソンに接してきて感じるのは、これまでの経験という狭い範囲の中でできることや役割を決めてしまい、しかもそれはもう変わらないと思い込んでしまっているということです。この研修でも、「自分には提供できる価値なんて何もない」「役割を作れる場に広がりなんてない」「人生はせいぜいあと10年だから」などとおっしゃる方は少なくありません。その枠をいかに外せるかが、長い人生を豊かに生きるためには重要だと思います。
社内外に広く視野を持てば、「キャリア資源」を生かせる場は必ずあります。そして、この研修で「キャリア資産」とキャリアコンセプトを考え、キャリア実現計画を立てることで、変わっていく力、すなわちキャリア・アダプタビリティを高めることができます。ぜひ、自分の人生を生きるために受講していただきたいですね。
宮本 正則
2008年より当社のトレーナーとして、マネープラン、ライフプラン、キャリアデザイン研修を中心に幅広い年齢層の支援を行っている。
米国CCE, Inc.認定 GCDF-Japan キャリアカウンセラー、日本FP協会認定 CFP(サーティファイド・ファインナンシャル・プランナー)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
遠藤 和
2008年より当社のトレーナーとして、ミドル・シニア世代のキャリア開発支援、女性活躍支援セミナーの企画開発・トレーニングを幅広く担当している。
2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)、米国CCE, Inc.認定 GCDF-Japan キャリアカウンセラー、ライフデザイン・アドバイザー(ビューティフルエージング協会)。