役割創造コンセプトプログラムとは(2/全3回)〜プログラムでキャリアコンサルティングが担うものとは〜
当社が提唱する「役割創造」のコンセプトに基づいて構成したこのプログラムの特徴について、主に関わっていただいている方々にそれぞれの専門領域の目線から語っていただきました。
今回は、キャリアコンサルティングの部分を担っていただいている鈴木さんに話をうかがいました。
当社が提唱する「役割創造」のコンセプトに基づいて構成したこのプログラムの特徴について、主に関わっていただいている方々にそれぞれの専門領域の目線から語っていただきました。
今回は、キャリアコンサルティングの部分を担っていただいている鈴木さんに話をうかがいました。
キャリアコンセプト開発研修後のキャリアコンサルティングが担う役割ついて教えて下さい。
鈴木:相談者の方が抱いている不安や課題、あるいは「気づきがほしい」「背中を押してほしい」といった思いを把握し、一歩を踏み出せるようサポートするのが私たちカウンセラーの役割だと考えています。
相談者の方は、具体的にどのような不安や課題を抱えていらっしゃいますか?
鈴木:大きく2パターンに分かれますね。まずは、キャリアコンセプト開発研修を通じてある程度自分なりの役割をイメージできつつある人。そのような人は、発想豊かに次から次へとやりたいことが出てきて、実行する意欲もお持ちですから、やりたいことを整理するためのお手伝いをすることが中心になります。
そして次に、研修では気持ちが高揚し、「参加してよかった」とは感じたけれど、職場に戻ると途端に冷静になり「研修は研修、現場は現場」と研修での気づきが個人の課題解決に向かわない人。そういった方々に対しては、一連のプログラムそのものを冷めて見ているのか、役割創造への落とし込み方そのものがわからないのか、落とし込み方はわかるけれどうまく言葉に表現できないのかなど、ご本人の状態を私たちカウンセラーが汲み取り、その状態に応じて次の一歩を踏み出すための視点や考え方を一緒に考えながら背中を押してあげるようにしています。
具体的にはどのようなはたらきかけをされているのでしょうか?
鈴木:相談者の方の状態によりますが、冷めている方に対しては、まずは研修で感じたこと・思ったことを隠すことなく話していただくよう促します。その上で、会社を取り巻く環境の変化や、その変化をふまえて会社が進もうとしている方向性などを伝え、「このような変化・方向性に対してあなたが気づいたことも加味して新しい役割を創造してほしいと会社は期待しているのだから、一緒に役割を考えてみましょう」「その結果、仮に会社を辞めて社外に役割創造の場を見出す選択をすることになったとしても、ここで考えたことはポータブルな自分の能力として次の場所で発揮できるのだから、会社の外まで視野を広げて考えていいし、この機会を十分に活用した方がいいんじゃないですか?」というようなかたちではたらきかけますね。
そうして少しずつこれから取り組みたいことや果たしたい役割が整理されてくれば、どのように実行していくかも一緒に考えていきます。実行するためにどんな情報が必要か、その情報は社内外のどこから得られるのか、といったことも問いかけていきます。
キャリアコンサルティングを行った結果、相談者の方たちにはどのような変化が見られますか?
鈴木:みなさん表情が変わりますね。例えば、次のステップに上司とのキャリア面談がある場合、そこに向けて前向きな気持ちになられます。さらには、前向きになったことで、行動に変化がある人もいらっしゃいます。企業によってはキャリアコンサルティングを2回行う場合があるのですが、1回目と2回目の間に上司に意見を求めて役割創造に動き始める方も何人もいらっしゃいます。1回目を終える時に「今日整理した内容を、次回までにもう少しブラッシュアップしてきてくださいね。気づきがあればなんでもいいので落とし込んでみてください」とお話しただけなのに、、2回目にお会いしたときに「上司にも相談して、アドバイスをもらったら、できそうなことがどんどん広がってきましたよ」といったように報告いただくような具合です。
なるほど。鈴木さんから見て、このキャリアコンサルティングの意義をどのように考えていらっしゃいますか?
鈴木:自分のキャリアコンセプトそのものや、それを今の自分の状況や未来に当てはめていくプロセスを明確にしていくことを、対話を通してサポートする点にキャリアコンサルティングの意義があると考えています。こういった明確化は、一人で考えていても堂々巡りになることが必至です。不安に感じていることややりたいことなどをすべて言葉にして誰かに話した方が速い。人は話をするのが好きな生き物ですから、どんどん話して相手の反応から整理することができるんです。対話を通じてキャリアコンセプトとそれに基づいたこれからのキャリアを明らかにすることで、変化する環境に対応する力、すなわち、キャリア・アダプタビリティを持つことの助けになればと思います。
最後に、このキャリアコンサルティングはどのような方におすすめでしょうか?
鈴木:「とくにこういう方に」というのはなくて、どんな方にもおすすめです。カウンセラーは、不安を抱いてなかなか行動に移せない方には、感情に寄り添いながら行動に移せる方法に気づいていただく支援をしたり、どんどん実行していきたいという方には、意思決定や行動化を支援したり、相談者の方の状況に応じて適切な方法でサポートしていきますから、たくさんの方に活用していただきたいと思います。
鈴木 政信
大手企業の「キャリア相談室設立」に従事。独立後、民間企業のキャリア形成制度の導入支援、市区町村のキャリア相談窓口担当、中央省庁のキャリア関連制度導入支援プロジェクトに携わっている。
2級キャリア・コンサルティング技能士(国家資格)、産業カウンセラー。