将来の女性リーダー候補とキャリア研修

女性活躍推進やダイバーシティ推進が注目されるようになった今日。女性のリーダーシップなどについても関心が高まっています。そこで、「女性活躍推進」領域の研修を担当して頂くことが多い、遠藤トレーナーに「将来の女性リーダー候補として期待される"次世代期待層"とキャリア研修 」についてうかがいました。

2016.06.06
インタビュー・対談

まずは簡単に経歴をお願いします。

遠藤:labo_160601_02.jpg仕事は企画畑から始まりました。
30半ばで出産して両立期に入ったときに、キャリアカウンセラーの資格を取りました。ちょうどGCDFが日本に入ってきた時期だったのですが、同僚に情報をもらって興味を持ちました。
新しい領域でしたので、「ここから始めたら何かを確立できるのでは」という期待もあり、この領域で進んでいこうと決めました。実際には、まだ職域が確立されていない時代でしたので、対面でのキャリアカウンセリングや雑誌の読者向けの誌面カウンセリングなど、最初はカウンセリングが主な仕事でした。
しばらくして、大学生向けアセスメントの解説スタッフの募集があり、やってみようと手を挙げたら採用されました。アセスメントを受けた学生達に対して解説やグループワークをするのですが、実は人前で話すのが苦手だったので最初はとにかく不安でしたね。

現在は講師として、研修中は「自然体」という感じですので、意外な気がしますが。

遠藤:本当に苦手だったので、私にとっては挑戦でした。
それでも、やってみたら向いていたんですね。私の言葉の選び方や関わり方が、ファシリテーターに合っていたようでした。
その後は、セミナーのプログラムを作る機会もいただき、自分で企画したワークショップでのファシリテーションが増えていきました。ここでは、以前の企画の仕事経験が活かせたなと思っています。

大学生へのファシリテーションから、社会人相手の研修に変わった時に、やり難さはなかったですか。

遠藤:ライフワークスが女性研修を立ち上げる時に、コンサルタントの藤田さんが声を掛けてくれたご縁で、企業研修の場に立つようになりました。最初の頃は、小売業の企業様の復職セミナーや、子育て中のワーキングマザー向けの研修を担当してきました。最近ではミドル社員向けの研修も担当しています。
それまでの大学生相手とは違う企業向けの研修は、私にとって挑戦でした。それでも、やってみると「受講される方たちのための研修」なので、講師としての基本は同じなのだと感じています。

その想いは、研修中にも出ているような気がします。

遠藤:研修講師を始めた頃は、この仕事で大事なのは話し方や、学問的な知識量などの講師スキルだと思っていました。ここ最近、そうではないと思うようになってきました。
昔の話として聞いていただきたいのですが、最初の頃の研修は、「私が皆をリードしている」というイメージだったと思います。そこから数多くの現場を経験して私自身も成長し、最近では、「みなさんと作っていく」ことが大切だし、楽しいと思っているのです。研修中の自分は、無色透明な存在であればいいなと思いながら場に立っています。
研修講師の醍醐味でもありますが、研修を受ける方の人生に触れていくことは、本当に奥深いなと思います。その中でも、「次世代期待層向け研修」は面白いですね。

「次世代期待層向け研修」について、もう少し詳しくお願いします。

遠藤:labo_160601_01.jpg入社から数年が経ち、ある程度の仕事経験を積んだ女性たちに対して、ライフイベントを前に自分のキャリアを考える時間を取ることで、管理職やリーダーになることも視野に入れたキャリアパスをイメージできるようにする研修です。
研修の構成としては、自分の持ち味や資源に気づくセッション、リーダーシップや発達のプロセスについての講義、さらに自分の良さをグループのメンバーからどんどんフィードバックしていただく、同世代の受講者同士が響き合うような内容になっています。自分の内面から未来へのヒントを沢山発見して、自分が思い描いた未来をどうやって実現するか、同じグループのメンバーの力も借りて、どんどん選択の幅を広げていきます。
トレーナーとしては、やはり、豊かな次のステージがあることは伝えたいと思っています。管理職やリーダーになりたくないと思う気持ちは分かります。でも、やってみて分かることがたくさんあるので、未来の選択肢に加えないことはもったいないです。
この研修に参加される女性の多くは、総合職として問題や課題を乗り越える経験、私はこれを「ストレッチ経験」と伝えるのですが、これまでにストレッチ経験をしてきています。それが、一人ひとりの経験としては違うものであっても、同世代で共有することで、未来の更なる成長へと自分の選択肢を増やすことができるのです。男性にはあまり想像がつかないかもしれませんが、女性の共感力が作り出す、響きあう成長の場になっています。私は響き合う場をつくるお手伝いをしています。

印象に残っている研修の場面はありますか。

遠藤:未来の選択肢を広げていくセッションで付箋を配布してワークをしてもらうのですが、用意していた付箋を折ったり切ったりして形を変えて使う方もいて、女性ならではの自由度の高さを感じましたね。また、初対面であったとしても、うちとけて関係性ができるのが早いですし、この研修での受講生の皆さんの話す対話量は群を抜いていると思います。自分も伝えたいし、相手のことも知りたいと思うのでしょうね。研修が終わった後の表情が、皆さんイキイキしています。

新しい年度が始まって1ヶ月経ちますが、何か変わったことはありましたか。

遠藤:この春から息子のダブルお弁当作りが始まりました。二人の息子のお弁当を毎朝作っているのですが、やる前は毎日やれるのか少し不安でした。それでも、なんとかなっています(笑)。作ったお弁当は毎回写真に撮っているんですよ。私の小さなモチベーションになってます。「お母さん、頑張ってるね」「今日のお弁当、美味しかったよ」そんな息子たちの言葉が、うれしいです。
「人の身体は、食べた物からできている」その当たり前のことが、ある日、「息子の身体は、私が作ったお弁当で出来ている」と腹落ちして、毎日のお弁当づくりが「タスク」から「息子たちの体と健康づくり」へと変わりました。

オンとオフの切り替えは、どうしているのですか。

遠藤:休日は家族で過ごすことが多いですね。数年前に、大工さんに指導してもらって家族で小家を建てたんですよ。電気関連は業者に頼みましたが、基礎工事から家族でやって、大いに冒険体験しました。週末はそこでぼおっとしたり、草取りをしたり。仕事で常に企画を考えたりプログラムを練ったりして頭を使っているので、オフは身体を動かすことで無心になるのがいいんです。なんだか、年寄りみたいですけど(笑)。
オフで充電して、オンはいつもいい状態で場に立てるようにしたいと思っています。全ての場で最大限の成果を出すのが今年の私の目標です。
また、誰と仕事をしても、お互いを活かし合い響き合える、そんな働き方をしたいですね。

トレーナー紹介

遠藤 和
参加された皆様が生き生きした表情で研修会場を出て行かれる姿をゴールイメージにひとつひとつの研修を進めています。
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